機動戦士ガンダム
2162話
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交渉をするという選択肢が残ってはいる。
もっとも、ルナ・ジオンの……そしてシャドウミラーの力を見せつけた以上、連邦軍といえども迂闊に月を攻めるような真似は出来なくなっただろうが。
「ルナ・ジオンの軍部のトップの、アンリを知っているか?」
「え? ええ、当然でしょ。これからは私達の上官にもなるんだから」
「そうか。なら、そのアンリがジオン公国軍時代に率いていた首都防衛大隊については?」
「その辺はあんまり。こっちも色々と忙しかったし、話題になるような部隊でもなければ、その辺の情報は入ってこなかったのよ。特に私たちは特殊部隊ということで、普通の軍とはある程度切り離されていたし」
「そうか。とにかく、そのアンリが率いていた部隊は、いわゆる戦傷兵の部隊だ。手足の一本がなかったり、片眼が見えなくなっていたりといったようにな」
そこまで言えば、シャルロッテも俺が何を言いたいのか理解したのだろう。思わずと言った様子で息を呑む。
「ちょっと、もしかして……」
「正解」
シャルロッテにそう言ったのは、俺ではなくレモン。
ラルとゲラートの会話に飽きて、こっちにやって来たのだろう。
「元首都防衛大隊の人達は、全員が今では健康体に戻って普通にルナ・ジオンのMSパイロットとして働いてるわよ?」
そう言いながらもレモンが苦笑を浮かべているのは、レモンに治療して貰ったパイロット達の多くが、レモンに過剰なまでの感謝をしているからだろう。
正直、見ている方にしてみれば、宗教か何かか? と思ってしまう程の感謝の仕方だった。
ちなみに、俺自身は宗教というものが好きになれず、胡散臭いものを感じてはいるが、別にシャドウミラーで宗教は禁止されていない。
……というか、エルフ達にしてみれば、混沌精霊の俺が神みたいなものらしいしな。
俺が宗教に対して思うところがあると知ってからは、あからさまに俺を拝んできたりといった真似をしなくなったが。
ともあれ、そんなエルフ達以外であっても、宗教は自由に信仰出来る。
もっとも、俺自身はそちらに興味も何もないんだが。
「なんだ、じゃあもう治療した経験はあるんだ」
ほっと安堵した様子のシャルロッテ。
自分達の信頼する隊長の治療に前例があると知って安堵しているのだろう。
「シャドウミラーの治療技術はかなりレベルが高いからな。今までも他の世界では治療不可能な人間を何度も治療してきた実績があるぞ」
アウル達やレイ、フィリオ、星刻といった面々がそれだ。
そういう意味では、既に慣れた作業とも言える。
それにマブラヴ世界の治療技術を入手したおかげで、以前よりも治療技術そのものは上がってるしな。
「アクセル、そろそろ頼む」
そんな風に話していた俺達だ
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