第四十六話 受験が終わってその六
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「高校生の人で」
「天高の?」
「はい、それでなんです」
「そんな理由なの。そもそも」
そう聞いて首を傾げさせつつまた言いました。
「誰よ、その人」
「まあそれは」
今も私を見て笑いながら話してきます、その笑顔が気になって仕方ないですがあえてお話の中には出しませんでした。
「言わないってことで」
「言わないの」
「はい、聞かないで下さいね」
「誰か気になるけれど」
「まあそういうことで、ただ」
阿波野君はまた私に言ってきました。
「先輩のことはお願いさせてもらいますね」
「じゃあ私も阿波野君の受験の時は」
「二年後ですね」
「お願いさせてもらうわね」
阿波野君がお願いしてくれるならと思ってです。
「お互いにね」
「そうしてくれます?」
「約束するわ。じゃあ明日頑張ってくるわね」
自分自身でもと答えました。
「そうしてくるわね」
「はい、頑張って下さいね」
「大学はあそこしか考えてないから」
もう本当にです。
「合格しなかったら本部勤務をさせてもらうか専修科か」
「そういった方に行かれるつもりですか」
「そうなの」
「どうあってもおみちなんですね」
「そのつもりよ」
あと数年はおぢばにいさせてもらうことは変りません。
「詰所に住ませてもらってね」
「じゃあ詰所に行くといつも先輩がいるんですね」
ここで普段以上に明るいお顔になった阿波野君でした、そして私に満面の笑みを向けながらこう言ってきました。
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