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空に星が輝く様に
93部分:第八話 ファーストデートその一
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第八話 ファーストデートその一

                  第八話  ファーストデート
 その朝。陽太郎は武装に忙しかった。
「お兄ちゃん、何してるの?」
「準備だよ」
 洗面所の前で鏡と睨み合いをしながらだ。妹に返す。
「ちょっとな」
「準備って?」
「出掛けるんだよ」
 こうまだパジャマ姿の妹に対して言うのである。
「今日これからな」
「出掛けるのはいつもじゃないの?」
「今日は特別なんだよ」
 言いながら髪をセットしている。既に服は整えている。整髪料と櫛で髪を必死に整えているのである。
「もうな。いつもと違うんだよ」
「お兄ちゃんもいつもと違う」
 妹はその兄に対してこう言った。
「全然」
「違うか?」
「うん、変」
 こう言うのである。そのまだ寝惚けが残っている顔でだ。
「何か変」
「そんなにおかしいか?」
「うん、おかしい」
 あくまでこう言う陽子だった。
「普段のお兄ちゃんと違う」
「ああ、それはな」
 その言葉を聞いてだった。すぐに納得した陽太郎だった。そしてそのうえでまた言うのであった。
「当たり前だよ」
「当たり前なの?」
「お洒落をしているからな」
「お洒落?」
「そうだよ、お洒落なんだよ」
 それだと話すのである。相変わらず髪をセットしながらだ。
「今日は特別な日だからな」
「特別なって?」
「ああ、特別なんだよ」
 こう話すのである。
「それでこうしてるんだよ」
「いつものお兄ちゃんと違う」
 後ろにいて鏡に映る妹は憮然とした顔のままだ。そうして言ってきている。
「もっと普通の感じがいい」
「普通がいいっていうのかよ」
「うん、いい」
 これが彼女の言葉だった。
「何かいつもと違ってよくない」
「それは別にいいだろ?」
「よくない。いつものがいい」
 あくまでこう言うのであった。そうしてだった。
 髪をセットし終えて朝食を食べる。だが今テーブルに一緒なのは妹だけである。陽子は彼の向かいに座って彼が焼いたトーストを静かに食べている。
 陽太郎もそのトーストと昨日の夕食の残りの鮭のムニエルとミルクを食べながらだ。そのうえで彼女に対して尋ねたのであった。
「お父さんとお母さんは?」
「寝てるよ」
 寝てるというのである。
「まだ寝てるよ」
「何だよ、起きたのは御前だけかよ」
「一人で起きたんだよ」 
 笑顔で兄に話してきた。
「偉いでしょ」
「ああ。御前最近起きるの早いんだな」
「早寝早起きだよ」
 笑顔はそのままあった。
「先生に言われたから。健康にはまずそれでいいってね」
「そうか。学校の先生にか」
「お勉強にもいいってね」
「勉強もしてるんだな」
「してるよ。陽子も八条高校に行くんだ」

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