85部分:第七話 二人の仲その十
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第七話 二人の仲その十
「じゃあ放課後だな」
「行くわよ、いいわね」
「ああ、それじゃあな」
「私達の他は」
「僕は部活があるから」
「私も」
赤瀬と椎名はこう言ってすぐに断った。
「だから一緒には」
「行けないから」
「映研今日は休みだからな」
「私も。今日家お休みだし」
都合がいいのは狭山と津島であった。だが二人は残る面々にも問うた。
「そっちはどうするんだ?」
「あんた達は」
「ああ、俺達か」
「私達ですか」
陽太郎と月美は言われて気付いた顔になった。
「ええと、どうしようかな」
「というかどうして私達二人なんですか?」
「おいおい、鈍過ぎるだろ」
「二人共ね」
狭山と津島はそんな二人の言葉に呆れた顔で返した。そうなるしかなかった。
「だからな、二人共よ」
「もう付き合ってるんでしょ」
「えっ、付き合ってるって」
「それは」
狭山と津島の今の言葉にはである。見るも無惨なまでに狼狽する二人だった。顔はおろか仕草や態度にまでそれが出ていた。
その慌てきった態度でだ。焦りきった声で言うのだった。
「いやさ、俺は別に」
「私はそんな」
「特にそんなやましいところはないし」
「あの、高校生の時はあくまで真面目なお付き合いで」
「だから付き合ってるとかそういうのは」
「なくてですね」
こんな有様である。それに突っ込みを入れたのは。
「だから。別にいいからよ」
「隠すことでもないじゃない」
狭山と津島はそんな二人の顔を見て突っ込みを入れた。
「今時そんな真面目な付き合いとかないしよ」
「ちょっとどころじゃなくずれてるし」
「だから俺達はさ」
「別にそんなのは」
「もう喋らない方がいい」
ここで言ってきたのは椎名だった。
「言えば言う程墓穴を掘る」
「愛ちゃん、だから私は」
「それに斉宮ならいい」
こうも言う椎名だった。
「確かな人間だから」
「確かって」
「そう、真面目でしかも頼りになる」
椎名の言葉は続く。
「尚且つ腕も立つ。それなら問題ない」
「俺ってそんなにいいか?」
「いい。それがわかってるから」
その陽太郎への言葉だ。そして同時に月美にも言っていた。
「つきぴーも安心していいから」
「私は。そんな」
「下手な奴なら私が許さない」
言葉に感情はないがそれは真剣な響きが見られるものだった。
「つきぴーの相手は私が見ているから」
「愛ちゃん・・・・・・」
「それに」
椎名はさらに言う。
「つきぴーをいじめる奴はもっと許さない」
「許さないのかよ」
「えらく厳しいわね」
「つきぴーは友達」
狭山と津島に対しても述べる。
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