10クレイモア地雷伝来
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で乗り、余りに血相を変えて顔見知りが飛び込んで来たので、見張りも何事かと怪しんだが、羽衣だのガラス製品など持ち込んで説明しようとするので、取り合えず寄合所に連れて行き、長老達にも話を聞かせていた。
「では、お主達の社の巫女に出雲の神が降りて来て、神の御技を授けていると申すのだな?」
「へい、さっき取り上げられた弓、あれも使ってみて下せえ」
武装解除されているが、石弓の強弓は片手で到底引けるものでもなく、体重を使って引き金に引っ掛けるのだと使い方を教わって、ようやく弓が引けた。
「まだ試しに作って、こうやって見せて回るだけのもんだが、ちゃんと当たるはずだ」
「よし、胸当てと盾を置いて、矢が通るか試してみよ」
「へい」
若い者が呼ばれ、鎧通しと木の盾を通るのか試させた所、普通の弓を通さない胸当ても盾でも、ボウガンなら簡単に貫通した。
「これが神の技か……」
「それだけじゃねえっ、山から芋を持って来させて、これなら根付いて冬の食い物にも困らなくなるとか、猪の子を捕まえて来させて、糞食わせてたら育つんだとか、その糞も置いて腐らせて、今度は草に食わせたら育つんだとか、何でも知ってなさる」
村でも評判が悪い、働きも悪く、信用できない口だけの男だが、目の色が変わってしまい、持って来た布やガラス、紐に麻のロープ、どれも渡来人からの輸入品か、出雲でなければ手に入らなかった品々で、こんな田舎の山岳地の庶民が持てるものではない。
「本当に出雲の神様が降りて来られたようだの、あのイチヨウ婆でも出来なかったものを、今代の巫女は何と申したか?」
「へい、シヨウ様です。降りてこられたのはヨツハ様だと名乗っておいででさあ」
長老たちも冬守で何かが起こっているのを察して話し合い、今までの慣例通り、諏訪にも男手を出して出雲の神に合力するのにも異論はなかった。
出雲の防備に出した兵は帰ってこなかったので、多分死んでいる。
朝廷が強大でも、今まで通りの生活をしたければ出雲側に付くしかない。
掌を反して朝廷に恭順して、これまでの関係を捨てるには、寒村の老人の頭は固すぎた。
「冬にも食い物に困らないか……」
冬の食料にも困らなくなり、春になるまで山菜や昆虫を漁るよう生活をしないでも済む。
その上、神々の産物が入手出来て、水車、水道、鉄製品にも非常に興味があった。
「まず、誰か若い者を冬守に見に行かせて、何が起こっておるのか確かめよう。鉄の武具が手に入るならそれに越したことはない」
「おお、この書状にも畑の手入れの仕方から、水車の作り方、糸や布の製法、砂鉄の集め方、色々と書かれておる。奴らも身内だと思ってあれこれと気を使ってくれるようじゃ」
年寄りが談判している間も、使者は腰を据えられないほど慌て
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