STAGE3-2:オレと私の離別戦闘
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ことである。
「これで残りはライチュウだけ! しかも『トリックルーム』の発動した状態じゃ誰よりもライチュウは遅いわ! 私の勝ちよ! 私は……私のままでも、クルルクと同じように戦える!」
ラディの言う通りだ。アローラ特有の進化をしたライチュウの速度を超えるポケモンは数えるほどしかいない。それが逆に枷になる上に、ラディのポケモンはまだ四匹とも戦う余力がある。ダブルバトルである以上、これ以上戦うなら相手二匹をライチュウ一匹で戦わなくてはいけない。絶体絶命というほかないだろう。
勝ち誇る……いや、訴えるようなラディの言葉に、クルルクは首を振った。
「まだ勝負はついてない。ラディがイヤだったとしても、僕は『模犯怪盗』だからね。こんなピンチも、きっちり切り抜けて見せるさ」
「……クルルクは、やっぱり私がメレメレライダーじゃないとだめなの?」
「少なくとも、他でもないラディに僕たちの戦いをごっこ扱いされたまま黙って負けるつもりはないよ」
その言葉に滲んだのは、怒りか、あるいは矜持か。その区別をつけられないまま、クルルクはライチュウを出す。
「行くよライアー、この絶体絶命のピンチに対する模犯怪盗を始めよう!」
「そうじゃない……そうじゃないけど……レイ、勝つよ!ここで勝ってクルルクに認めてもらえなきゃ……何も変われない!力を貸して!」
怪盗になった子供は子供のままあろうとし。ヒーローになった子供は大人へと変わろうとする。昔々から繰り返されてきた御伽噺をなぞる様に、戦いはまだ続く。
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