提督、里帰りする。その4
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。そんな健康で好き勝手にバリバリやってた爺さんも寄る年波には勝てなくてな。3度の脳梗塞と糖尿病、白内障に前立腺がんまで患ってな。それでも酒と煙草は止めなかったっけ。最初の脳梗塞の時に病院を嫌がってな、どうにもならなくなってから病院に行ったせいで右半身が麻痺しちまっても、どうにか右手だけはリハビリで動かせるようになったら震える手で煙草咥えてたのを覚えてるよ。
「よっぽど好きだったんデスね……」
ほぼ中毒に近かったんだろうな、多分。それでも最初の脳梗塞から20年近く生きて95での大往生だからなぁ……頑丈というか、何というか……ん?
「どうしたお前ら、黙り込んで?」
「な、何と言いますか」
「提督の頑丈さとか強さって、遺伝だったのね……」
んん?まぁ、爺ちゃんも喧嘩っ早い人だったし小柄なのに腕っぷしも強かったから、街の顔役みたいな所もあったからな……っと、着いたぞ。
※爺ちゃんの逸話
ほぼ実話です。
車を降りると俺の記憶よりも真新しくなった門が俺達を出迎えていた。どうやら、俺の居なかった二十数年の間に建て替えたらしい。傾斜のキツい階段を上がっていくと、山の斜面に張り付くように墓石が立ち並ぶ共同墓地が姿を現す。
「わぁ……いい眺め」
青葉の漏らした一言に、皆が振り向く。背後を見れば、少し小高い所にある上、森が開けていて海がパノラマで見える。
「この町は海と共に発展してきました。亡くなった方々も海が見える方が安らかに眠れるだろう……と、この寺を開いた住職がここに墓を作ったそうです」
声のした方を見ると、朗らかな笑みを浮かべた老僧が立っていた。
「あぁ、こりゃどうも」
「軍の方がこんな所に珍しい。どなたかの墓参りですかな?」
「えぇ、祖父母の所に。まぁ、仕事の忙しさにかまけて20年以上来てませんでしたからね。酷い孫だと思われてますわ」
「いやいや、大事なのは故人を偲ぶ心。期間が空いたとて文句は言われますまい」
「はぁ、そんなもんですかね?」
「darling、早く行きマスよ〜!」
何処に墓があるかも判らないクセに、先行している金剛が呼んでいる。何がそんなに楽しいのか、アホみたいに手をブンブン振っている。
「奥様ですかな?」
「いや、まぁ、はい。……喧しくて申し訳ない」
「はっは、溌剌としていて良いではありませんか。まるで太陽のようだ」
太陽……か。まぁ、あのバカみたいな明るさと時折見せる日だまりのような温もりは確かに太陽のようだと言えるかもな。
「では」
「えぇ、それでは」
互いに会釈を交わし、金剛達の方へと向かう。
「何を話してたんデス?」
「若い美人の嫁さんで羨
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