06.そうだ、刑務所に逝こう。
第22回
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たね」
にんまりと笑みを浮かべ、不気味に笑うキュラル。
「此れは、別の世界の貴方が書いた、生前手記です。その世界では、貴方は残念ながら首領に殺されてしまいましたからね」
「琴葉が………俺を?」
「貴方だけじゃありませんよ! 七星さんも、K猫も、白猫も、全て首領の手で殺されました!!」
ヒュッと全員が息を呑む。視線が鋭くなり、武器を構え直す。瞳には殺意の光が現れている。
「でも………」が、聖月は敵意すら持つこと無く、キュラルを見る。
「それは、貴方達が『時の旅人』だからでしょう?」
それを聞いて、キュラルは眉を顰めた。顔を歪め、楽しそうな顔から一転、不機嫌そうな顔をする。
「知っているんですか? その事を」
「朝、とある物知りな吸血鬼に聞いたわ。もしかしたらって聞いてたけど、本当のようね」
「はい、本当ですよ。真逆、それを知っている者が居るとは」
「つまり、貴方達は関わった人を全て殺してから、世界を去っているって事ね」
「違いますよ。首領は、僕達が世界から去るときに起きる記憶消去の作業を、出来るだけ貴方達の負担にならないようにしたいと言うので、殺しただけです。今回は、何時も通りの人達を殺した後、別世界から来た一条さん達を殺します。『彼女達には記憶消去が行われないので、殺す必要がある』と首領が仰っておりましたので」
何故か心臓が大きく音を立てる。呼吸が一時的に出来なくなり、涙達は冷や汗を流す。
背後からの気配。それが理由だった。
「ラル、如何為て其れを持ってるの?」
聞き慣れた声。咄嗟に涙達は振り返る。
其処には、一度自分達を殺した時と同じ格好をした琴葉と、黒い蓬髪の青年が立っていた。
「未だ燃え尽きていなかったので、貰っておきました。に為ても、部下の物を勝手に燃やすなんて、酷い人ですねぇ」
「変なこと言わないで。私は、直ぐにでも忘れたかったの」
「其れで如何するんですか? 自分が世界に居た証明を消すなんて、僕は嫌ですよ?」
「私だって、何度も何度も涙や宙達と一緒に任務を為て、出掛けたり、話したり為たのは楽しいよ。でも、最後に毎回殺さないといけない。そしたら、次起きたときには全ては夢だったんだ! 其れで、涙達は私の事を忘れる。だけど、私は涙達の事を忘れられない。だから、其れだって燃やそうとしたの。………ラルにその気持ちが分かる?」
低く冷たい声。任務の時と同じ雰囲気。
「分かる訳ないよね。グレースでも絶対に分からない。誰にも、誰にも分からないでしょうね」
琴葉はそう言い放った直後、未だ別の世界の自分の生前手記を持った涙に近付き、思い切り突き飛ばす
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