06.そうだ、刑務所に逝こう。
第22回
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
聖月達は、目の前に蹲る人達を、只呆然と見ていた。
「ああああああああああああああああああああああ………!!!」
絶叫。絶叫絶叫絶叫絶叫。
全員が只、叫びながら泣いていた。
「大丈夫……ですか?」
か細い声で聖月が言う。震えるフランの肩に触れると、フランは大きく躰を震わせた。
「嗚呼、大丈夫だよ! 彼女が戻ってきてくれたのだったらね………!!」
修復不可能。糸は全て切れた。つまり、彼等は死んだも同然。
聖月がそう理解するまで、時間は掛からなかった。
残り時間は後一週間。
―――私だって、出来ることはあるはず。
◇ ◆ ◇
「……って事があって、僕を頼ることにしたと」
「はい。ノアさん」
聖月は、自分の部屋でノアを呼び、今までの出来事を全て話した。
「僕が知っている限りだと、軍は『時の旅人』ってヤツの集団だね」
「『時の旅人』? それは何ですか?」
「そのままの意味だ。自分が持っている力や、物の効力等によって、様々な世界の時間に行くことが出来る人の事さ。全員、自分の理想の世界を見るまで、死なないし、死ねない。彼等が自分の理想通りにならなかった世界は、彼等の存在を忘れる。そして、彼等は去って行くんだ。逆に、理想の世界となった場合は、自分の一番大切な場所で死ぬ。彼等は、ずっとその世界に残る。……まぁ、琴葉の事を忘れたくないのなら、一度殺すか、琴葉がこの世界から去る前に、違う世界に行くしかないよ。彼等は何時か自然と死んでくれるし、死んだ瞬間に理想郷を作る時に犠牲となった人も蘇る。彼等は人間よりも、人外よりも、どんな種族よりも、悲しい存在だ」
「……って事は、私がその蓬髪さんに言われたことを守る必要は………?」
「特には無いね」
「………その、時の旅人が、私達の世界まで来た理由は……?」
「琴葉が望む理想郷の完成には、あの刑務所の人間が必要だったんじゃないか?」
「刑務所を襲った理由は………?」
「仮に、君達が必要だったとしたら、君達と仲良くなるためって所だ」
「………っありがとうございました」
唇をきつく閉じて、聖月は部屋を出て、フラン達のもとへ向かった。
◇ ◆ ◇
「で、何故俺は散歩に付き合わされているんだ?」
「……皆さんの……き、気分転換が出来ればと」
「今がどれ程大切なタイミングなのかを理解して提案していることは分かっている。だから何故!?」
「思い詰めていても、何も浮かびませんよ………?」
と言う感じで、聖月達八人プラス涙達七人で、現在散歩をしている。まぁ、文句ばかりの涙だが、怒っているわけでは無さそうだ。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ