第三話 ブッシュネルはいい機体
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スクを背負うが、自分から敢えて姿を晒し敵機の位置を把握するのはかなりの冒険だが愚策とは言わない。さて、相手はどう出るか。
「…………」
レーダーに反応無し、足音も聴こえない。
相手は先程の地点から動いていない様子だ。
こちらは二つ目の奥の手『無音駆動』を駆使し、目的地である座標に向けて移動中だ。
無音駆動とは、その名の通り無音で駆動。つまり移動するという事なのだが…電力の消費が激しく長時間の使用は不可能なので、ここぞという時にしか使えないネックな機能だ。
相手も無音駆動で移動し尚且つ、ECSを併用していならこちらのレーダーに反応しないのも頷けるが、それは普通のASの内蔵コンデンサーでは不可能だ。
大型のコンデンサーを搭載した第三世代、2.5世代アーム・スレイブなら可能だが…この煙の中、こちらの機体を索敵するのは困難な筈だ。
「よし。この辺は色々と使えそうだ」
無難な立地で足を止め、周囲を確認する。
木々の配置や地面の凹み凹凸も申し分ない。この段差も利用出来そうだ。
「そろそろ終わりにしてやる」
ニヤリと勝利の確信。
…いかんいかん。ここで慢心するのは油断大敵だ。最後まで知恵を絞り、勝利を勝ち取ってやる。
…。
……。
…。
とてもスリムな機体だった。
この対戦で戦ってきたアーム・スレイブはどれも鈍重とした見た目だが、その機体はそれとは真逆の細身だった。
「サイクロ2か…」
第二世代アーム・スレイブ『サイクロ2』
戦闘ヘリの胴体に手足を生やしたような外見で貧弱そうなASだが、外見から推測できる通り機動力は中々のものだ。
なんでも跳躍力や瞬間最高速度は第三世代アーム・スレイブを凌ぐ程の性能を誇るらしい。
だが、その分とてもピーキーな機体でその反面、守備力はとても低く。俺のブッシュネルの半分以下程度だろう。少しでも弾が掠れば、それだけで痛手となる。
そんな機体が、こんな視界最悪の魔の巣窟に入り込んできた…という事は何かしらの策は有るのだろう。
所有する武装は、右手に短機関銃。左手に対戦車ダガー。どれも軽量でサイクロン2には相性のいい武装構成だ。
隠密行動で裏取りされたら厄介そうだな…。
サイクロン2は真っ直ぐコチラにやってくる。
「あと少し…もう少し、」
焦るな。まだ、あともう少しなんだ。
相手の手の内は把握し切れていないが、この有利な場面なら勝機は十二分にある。
あと三歩。
…あと二歩。
……あと一歩。
「────今だ!」
突如、サイクロン2の後方から銃声が響き渡る。
「!?」
サイクロン2は慌てて木の陰に身を隠し敵襲から逃れようとするが────甘い!
「この瞬間を待っていた!」
地面が割れた。いや、崩れ落ちた。
サイク
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