第三話 ブッシュネルはいい機体
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『雨上がりの空に』
高校生というのは意外と普通なのだと実感したのはいつ頃なのだろうか。
俺、千鳥 蒼太は始まってまだ一ヶ月も経ってないのに高校生活に退屈を感じていた。
中学生の頃の自分は、高校生とはもっと自由で少し非日常を味わえる…と勝手に思っていたが、そんな事はなく、現実は残酷で平和な日々は刻々と過ぎていく。
普通に授業を受けて、普通に友達と遊んで、普通に暮らす。
とても充実した日々だ。何の不自由もない。誰もが望む毎日なのだろう。
「………」
でも、それではこの心は満たされない。
普通では味わえない高揚感というやつを堪能しなければ満たされる事は無いだろう。
「おっす。蒼太!
今日も一日湿気たツラしてんな!」
教室の外からズケズケとやってくるコイツの名前は山根 風志。
中学からの付き合いでクラスは別々だが、登下校はよく共にする友達だ。
「湿気たツラは余計だ」
「だってよォ。お前ってばいっつも難しそうな顔してんじゃん?
たまにはさ。明るい楽しそうな顔でさぁ」
そう言って風志は…恐らく、本人は自分なりに明るい楽しそうな顔とやらの表情を作っているのだろうが、とても不細工な変顔で俺は「ぷっ…」と少し吹いてしまった。
「そそ。人間笑顔が一番!
今日も一日笑顔で楽しく乗り切りましょーう」
「と言うが、もう放課後だぞ?」
「そだね。放課後も笑顔で楽しみましょーう」
何ともお気楽で、頭の中がお花畑…いや、お花の楽園になってるような奴だが、こういう所が風志のいい所だ。
こんな退屈した毎日でも、風志のような奴のお陰で楽しく感じられる。
「で、今から暇?」
「今日は…カフェの手伝いも無いしバイトも休みだから暇だな」
「ヒュー。タイミングいい!
じゃさ。ゲーセン行こうぜ!」
「またか。お前ってホント暇人だな」
「忙しいより暇な方が人生楽しめるんだぜ?」
風志はドヤ顔で決めてくる。いや、そんなドヤ顔されても…。
「はいはい。そうだな、人生の楽しみ方は人それぞれだもんな」
そういうモットーを持っているから風志はこういう(いい意味で)馬鹿になったんだろうな。
『駅前のゲームセンター』
平日の午後四時前、この時間になると人が増えて普段から賑わいのある所だが、駅前という立地だとやはり人が集まりやすい。娯楽施設とか飲食店も密集しているし、やはり接客業は人の集まりやすい所に集中するんだなぁ、と改めて考えさせられる。
高校生になってからか、少し人間として成長したからなのか。こういう有り触れた『当たり前』と言うやつに有難みを感じ始めたこの頃、隣で子供みたいにはしゃいでいる風志を見ると日本は平和な国なんだな…と再認識した。
「やっぱゲーセンって何回来てもテンション上がるよな!」
「分
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