機動戦士ガンダム
2161話
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何の問題もない。
「へぇ」
窓から基地を眺めていた俺は、思わずといった様子で声を上げる。
そんな俺の声に遅れる事、数秒。スレイがまずその存在に気が付き、続いてラルも気が付く。
そう、基地の周辺にカモフラージュされたMSが待機していたり、生身の人間が潜んでいたりといった様子を。
混沌精霊で五感が他人とは比べものにならない俺は例外として、本来であればスレイよりもラルの方がその辺りについては素早く気が付いてもおかしくはない筈だった。
それでもスレイの方が先に気が付いたのは、やはりそれだけ実戦経験が豊富で、何より魔力や気によって俺程ではないにしろ、常人よりも鋭い五感を持っているからこそだろう。
「ふむ、ゲラートらしい」
ラルの呟きには、感心した色がある。
ゲラートにしてみれば、これは別に俺達を騙し討ちする為のものではなく、いざという時の対処の為なのだろう。
実際、ゲラート率いる闇夜のフェンリル隊は、ジオン軍を脱走してルナ・ジオンに合流しようとしているのだから。
しかも、この様子を見ればMSを奪っての脱走だ。
ジオン軍にしてみれば、追っ手を放ってもおかしくはない。
そんな状況である以上、ゲラート率いる闇夜のフェンリル隊がこうして周囲を警戒するのも当然だろう。
「一応言っておくけど、向こうがこっちに攻撃してきたら、こっちも反撃はするぞ?」
「それは当然だろう」
俺の言葉にラルが頷き……それと同時に、輸送機は着陸態勢に入る。
……まぁ、ぶっちゃけた話、この状況でもし輸送機が破壊されても、俺もスレイも……それどころか、量産型Wですら死ぬようなことはない。
普通に地面に着地するだろう。
そういう意味では、この場で一番危険なのはラルだけだったりするのだが……結局俺が想像したような騒動は起きることもなく、無事に輸送機は地面に着地する。
そして輸送機が止まり、俺達がそこから降りると……
「ラル!」
不意にそんな声が周囲に響く。
声のした方を見ると、そこにいたのはジープ……軍用車でこちらに向かってくるゲラートの姿。
助手席に乗ったゲラートが、輸送機から降りてきた俺達……いや、ラルを見て嬉しそうに手を振っている。
ラルの方も、久しぶりに親友の顔を見てほっとしたのか、珍しく嬉しそうに笑っていた。
そうしてジープが止まると、ゲラートはすぐに降りてきて、ラルもまたそちらに足早に近づいていく。
よく見れば、ジープを運転していたのは俺とも顔見知りのニッキだった。
そのニッキは、ジープから降りると俺の方に近づいてくる。
ただ、その視線は俺の横にいるスレイに向けられていた。
まぁ、スレイの美貌を思えば、ニッキの態度も分からないではないけど。
「ムウ、お前
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