18話:父の憂鬱
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ネ上がっていることは資料を読んで理解はしている。
「あとは、ザイトリッツが言っていた資材の件は大丈夫なのかしら。貴方にも直接お願いしていたみたいだけど、私にも念押ししていきましたから。」
「ええ。その辺は大丈夫です。資材課の若手士官も連れて行きましたので大丈夫だと思います。ただ、またとんでもないことをするのではと思うと心配でもございます。」
「あら、ザイトリッツは当家に利益がある事しかしていませんわ。今回の話も軍にとってもメリットがあるからなんとかなるわよ。」
「あやつは確かに優秀ですが、前例がないことを言い出しますので、私としてはヒヤヒヤすることが多いのです。不満があるわけではありませんが。」
我が子息、ザイトリッツは今回の造船ドックと、移民受け入れに当たって既存の産地で資材調達することを渋ったのだ。理由としては陛下のご恩情を無駄遣いできないし、造船ドックについても建設費まで半額負担する以上、購入先の選定に意見ができるはずだと主張した。
確かにオーディン近辺で調達してしまうと、そもそも資材の高騰を招くので資材課としても新規納入元を求めたという背景はあった。ただ、ザイトリッツの本心は、おそらく資材利権を持つ門閥貴族には1帝国マルクとは言え、渡す気はないという事なのだろう。
「ケーフェンヒラー男爵のことも振り回しているのではないかと心配で心配で。」
「あの子はレオンハルト様同様、配慮ができる子ですから大丈夫でしょう。ただ、あの子がいないと寂しいから早く帰って来てもらわないと。」
母上はザイトリッツが生まれて以来、絵に描いたように猫かわいがりしている。私はザイトリッツの無茶苦茶な行動の要因が母上の溺愛にもあるのではと思っている。ただ、これも強く言えない。産後直後からザイトリッツの養育は母上にお願いするしかない状態だった。いまさら育て方について責めるような事はできるはずもない。
なにやら漏れ聞くところによると、お忍びをいいことにフリードリヒ殿下を兄貴呼ばわりしているらしい。それを洩らした長男ローベルトは、自分の呼び名は堅物だが、公明正大と呼ばれたかったなどと申していたし、全く頭が痛い。数年で任官だというのに年下の末弟に振り回されてどうするというのか。もしや私にも変な呼び名を付けていたりするのだろうか。困った事だ。
その当人は年越しも早々に、ケーフェンヒラー男爵と従士のフランツ、乳兄弟のパトリックをお供にして、辺境星域に交渉に向かった。同行した資材部の士官も本来ならまだ休暇中だったのだ。当家のワインセラーにあるレオを一本融通したら喜んで任務に就くと言っていたが。これだけ周りを振り回しておいて、本人は楽しそうに旅立った。
母上にはもっとザイトリッツの手綱を押さえてもらわねば、またとんでもないことを
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