第6章:束の間の期間
第172話「予兆と決意」
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いといけない、ですね?」
「……はい。昨日診た時点で、優輝君は感情を失っています。その上で精神的負荷がかかって気絶……これは、余程のショックでないと倒れる程にはならないと思います」
シャマルさんから告げられる診断結果は、考えてみれば深刻なものだった。
そう。優輝君は感情を失っているんだ。
精神的負荷は、感情があるからこそ強く掛かるもの。
感情を失っている上で精神的負荷で気絶するなんて……。
「優輝、君……!」
……自分が情けなかった。
優輝君がこれほどの状態になっても何も出来ない事が悔しかった。
「………」
それは、奏ちゃんも同じらしくて、悔しそうに拳が握られていた。
「それと……倒れたのとは別件だと思うんですけど……」
「ど、どうしたんですか?」
「……なぜか、肉体が女性のものになってます」
「あっ」
……しまった。失念していたけど、診察したらそりゃバレるよね……。
「……司ちゃん、説明してくれるかしら?誤魔化すための認識阻害に使われてる魔力素が、司ちゃんのものだったから、知ってるはずよね?」
「えーっと……」
あまり広めたくはないけど、誤魔化す事は出来ないだろう。
……簡単でいいから、説明しよう。
「簡潔に言えば、神降しの代償……かな?椿ちゃん……つまり、草祖草野姫は女性の神様だから、女性の因子が神降しをした優輝君にも流れ込んで、それで女性になってしまうって言う……」
「……そんな事が」
深刻ではないけど知らなかったからか、シャマルさん達は開いた口が塞がらなかった。
まぁ、優輝君はいつも隠し通してたからね……。
「えっと、どうすれば元に戻るんだ?」
「あ、それなら時間が経てば時期に戻りますよ。……でも、今回は長時間激闘を続けてたから、しばらくは戻らないかもしれません。だから認識阻害で誤魔化してたんですけど」
「そうか……」
光輝さんは私の言葉を聞いて、ホッとする。
まぁ、ただでさえ倒れたのにさらに何かあると思ってしまうからね……。
「そういう訳なのでシャマルさん、認識阻害はそのままでお願いします」
「え、でも、事情を説明すればいいだけじゃ……」
「これ以上、いらない混乱は避けたいので。それに、女の子になった優輝君は緋雪ちゃんに似ているので、それでも混乱を招きそうなので」
「確かに……緋雪に似てるわね……」
「やっぱり兄妹だからなのか?」
優輝君の顔を覗き込みながら、優香さんと光輝さんは言う。
起きている時なら雰囲気でわかるけど、寝ているとさすがに見分けが付きにくい。
「……とにかく、彼が精神的に辛いという事には変わりないので……」
「優
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