白魔導士
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れるが、お前の場合はその逆だな」
シェリアを抱えてこの場を離れていくエルザとウェンディ。藍色の少女は不安そうに振り返ったが、唇を噛みながらその場を後にする。
「仲間のためなら自らの犠牲を厭わない。まるでどこかのヒーローのようだ。きっとお前は永遠に英雄として持て囃されるのであろう」
好機な目で自らに立ち向かってこようとする少年に笑いかけるティオス。それに対して少年は、無表情を貫いていた。
「レオン・・・俺も楽しかったんだ」
「はぁ?」
突然の言葉に眉間にシワを寄せるレオン。そんな彼をヨソにシリルは言葉を紡ぐ。
「この一年間・・・お前やシェリアと一緒にいられたことは、間違いなく俺の財産だった・・・同じギルドにこんなに気の置けない仲間がいることが嬉しくてしょうがなかった」
妖精の尻尾の仲間たちとはもちろん仲がいい。しかし、彼らは年上である彼らにどこか遠慮しているところがあるのも事実。そんな彼らにとって短い期間だったとはいえ、同世代の・・・心を許し合える友がいたことは今までにない感覚だった。
「蛇姫の鱗最後の日に、お前からも楽しかったって言ってもらってすごく嬉しかったんだ」
「あぁ・・・そんなことがあったな」
かつての楽しかった日々を思い出しているシリル。それに対しティオスはうんざりした様でため息をついていた。
「俺は悲しいよ、レオン。こんな形であの約束を果たさなければならないなんて」
「??約束?」
彼が何のことを言っているのかわからず目を細めるティオス。その姿を見たシリルはフッと息を吐いた。
「俺はお前より強くなる。その時は俺と全力で戦ってくれ」
それを聞いた途端、ティオスは鼻で笑ってしまった。真剣な彼の表情が、ますますそれを増幅させる。
「確かにそんな約束はしたな。だが、それが果たされることはない。
なぜならお前は俺を越えることができないからだ」
冷徹な目でかつての友を見据えるティオス。その目に対してシリルも睨み付ける。
「俺は越えるよ。今ここで!!お前を!!」
「それは無理だ。お前では俺を倒すことなどできるはずがない」
最大限まで魔力を高めるシリル。それに対してティオスはあくまで冷静な佇まいで、余裕を覗かせていた。
ぐい
メイビスの頭を掴むゼレフ。彼は苛立ちに満ち溢れている目を彼女に向けた。
「君というやつは・・・」
「お願い・・・話を聞いて、ゼレフ」
ナツとの真剣勝負に水を差された上になおも見せるこの甘さ。彼は心底彼女の優しさにうんざりしていた。
「私はあなたを救える・・・あなたを不老不死から解放できる」
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