白魔導士
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ガアアアアアアアア
大陸を揺るがすほどに響き渡る怒号。その声は深々と地面を削り取り、山を一つ消し去った。
(これがドラゴンの力・・・確かに目を見張るものがある)
アクノロギアのブレスを避けた天海はみるみる削れていく大地を見ながら口を閉じている。そこには戦いを楽しむ男の表情はなく、真剣そのものだった。
(確かにパワーはあるしある程度考えて魔法を放っているのはわかる。だが、この程度で何万ものドラゴンを倒せるのか?)
天海は人間の姿をしていた時のアクノロギアとは力が違うことは十分にわかっていた。しかし、それでもやはり気になるところはある。
(こいつはまだ本気じゃない。つまり、俺には本気を出すまでの必要性がないと思われているということだ)
それは圧倒的な実力を保持し、多くの強者と戦ってきたと言う自負がある天海からすれば失礼以外の何物でもない。大変に不本意なものであるが、それが逆に彼の闘争心を刺激する。
「いいだろ。貴様が本気になれるよう、俺も全力を尽くす」
目付きがこれまでのものとは大きく変わった天海。それを見たアクノロギアも、雰囲気が大きく変わっていった。
「あとはお前を吸収すれば、俺は完璧になれる」
これまでの戦いでできた傷が全て修復されたティオス。彼が見据えるはもう一人の自分とも言える存在。
「レオン・・・お前は・・・」
過去との思い出とも完全に決別しようとしている旧友を見て、水の竜は体を震わせた。
「一体どこまで堕ちれば気が済むんだ?」
怒りなのか悲しみなのか、もう少年にもわからない。ただ一つ言えることは・・・
「ウェンディ、エルザさん。シェリアを連れてここから離れてくれ」
「え?」
「何言ってるんだ?シリル」
束になっても敵わないのに、一人になってしまっては相手になるはずがない。ましてやティオスはこれまで以上の力を手に入れた。もう彼を止めれるものはいない。
「確かに一人じゃ相手にならないだろう。きっとものの数分で倒されておしまいだ」
「なら・・・」
そこまでわかっているのに、なぜシリルは戦いを挑もうとするのか、止めようとした二人だったが、彼の魔力の質が大きく変わったことに気が付いた。
「へぇ、それを使う覚悟ができたのか」
「あぁ」
シリルを包んでいく水色の魔力。それに、合わさるように、周囲に風が舞い起こっていく。
「俺の命を賭けて、お前を止めてやる」
かつて封印を決意した天空の滅悪魔法。再びそれを解放した彼が向かう先は、勝利か、破滅か・・・
その頃妖精の尻尾のギルドでは、
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