暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜剣と槍のファンタジア〜
ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
1章 すべての始まり
7話 ボス攻略会議
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 あれから、一か月近くがたとうとしていた。

 リアとツカサは自らを強化しながら始まりの街に通い、これから戦闘をしようという者と困っている人のサポート、人助け、そして自殺者の歯止めなどを行っていた。

 一か月たった今での死者は800人を少し超えたところ。そのうち、最も多いのは自殺だった。一か月も経ったのに、まだ一層すらクリアされていないという現状なうえに、外部からの救助がないということから、失望するものは多かった。確かに、このペースで考えれば、100か月、約8年と3か月かかるという計算になる。

 大切な人や、大事な仕事、やり残してきたものを現実世界に置き去りにしている人にとっては、失望するのも当たり前といえる。そんな彼らは、茅場の言葉を否定し、死亡という形でログアウトできると信じて、アインクラッドの城から飛び降りた。

 飛び降りた彼らが現実世界でどうなったかは、こちらの世界から確認しようもなかった。ただ、黒鉄宮の生命の碑と呼ばれる巨大な石盤に掘られた彼らの名前の上に、滑らかな棒線が引かれ、二度とこの世界に戻っては来なかった。

 だが、リアとツカサは知っている。彼らは確実に現実世界からもログアウトされているということを。

 ゲーム機なんだから、人を殺すことなどできない。一部のプレイヤーはそう言った。しかし、“ただの”ゲーム機ではないナーヴギアは、それが可能なのだ。ナーヴギアの重さの3割はバッテリーセル。つまり、脳を焼き切る高出力の電磁波を出し、脳細胞中の水分を拘束振動させ摩擦熱によって脳を蒸し焼きにすることぐらい、容易いのである。

 
 今のところ、2人のおかげで自殺をするものは格段に減った。おそらく、この2人がいなければ、今の倍以上の死者が出ていただろう。


 仮想の空を見上げ、リアは一つ、息を吐いた。頭に眼鏡の表向きは優しそうな…だが、中が見えない男の顔が浮かぶ。

 2人は、毎日の睡眠時間を削り、街を、フィールドを駆けまわってきたが、それでも800人以上の死者が出てしまった。これから攻略をしていけば、もっと死者が増えるのは目に見えている。

「これ以上どうすればいいっていうの…?」
「何か言った?」

 思わず口から思いがこぼれたようで、ツカサが顔をのぞき込んでくる。なんでもないとかぶりを振ると、「そうか」といって、何事もなかったように歩き出す。

 

 現在、2人は1層最大かつ最後の街、“トールバーナ”の近くでポップしてくる“コボルト・ヘンチマン”をバッタバッタとなぎ倒していた。。それは二人の武器であるアニールブレードと、アイアンスピアの強化素材、“小さな剣柄”を探しているのと、平行して、コボルト・ヘンチマンを100匹倒せというスローター系クエストを受注しているのである。


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