16話:捕虜交換の余波
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てくれた。長期熟成酒の件もフリードリッヒコレクションと銘々する確約を得た。そろそろ本題に入る頃合いかと思い出したら
「ザイ坊よ。陛下のご恩情をかなり強引な手段で無にしようとしている輩の件も相談が必要なのではないかな?」
と、兄貴が切り出した。叔父貴もうなずいている。
「そうなんだよね。お人よしもそれを心配して相談に来たんだよ。まあ、こういうのは叔父貴が得意かと思うんだけど、強引な連中は順番を勘違いしてるみたいだからその辺を煽ればなんとかなると思うんだけど。」
俺がそういうと叔父貴は少し嬉しそうな表情をし、お人よしはビックリしている様だ。兄貴はすこし悪そうな笑いをしながら
「では、その勘違いとやらを話してくれるかな?ザイ坊よ。」
といいつつ、グラスを傾けた。
俺はお酌をしてから話を続ける。
「今回は帰還兵だけでなく、農奴となっていた彼らの家族も容疑者となっておりますが、農奴の容疑者の数はすごい数になります。という事は、今回逮捕された農奴がいた地域に共和主義者がまだいる可能性があります。
また、恐れ多くも陛下から領地を任されながら多数の思想犯が生まれるような領地経営をするようでは、領地経営を任せ続ける事はできますまい。まさかとは思いますが、領主自身が共和主義に染まっている可能性もございます。そうではございませんか?」
俺がそこまで話すと兄貴と叔父貴はニコニコしだしたし、お人よしはハンカチで汗を拭った。
「このお話を陛下にするか、お調子者のボスに話すかは兄貴と叔父貴のご判断かと。」
「うむ。ザイ坊はしつけの才能もあるようじゃな。確認だがルントシュテット領では1000万人は新たに領民を養う余地はあると考えて良いのかな?」
「問題ないよ兄貴。ただ、住まいを決めて職を決める位の期間の生活費位は持ってきてもらえると嬉しいかなあ。」
というと兄貴は笑い声をあげた。これで社会秩序維持局への対応は大丈夫だろう。お人よしの方に視線を向けるとホッとした様子だった。
そろそろお暇する時間だ。落としどころが決まったら一報入れようという兄貴にお礼を言って、俺たちは店を出た。地上車でケーフェンヒラー男爵を滞在先だというホテルに送る。降車する際に
「男爵、お忍びの件はご内密にお願いします。一先ず、ご安心頂けそうで私もホッとしました。」
「いえ、この度のご配慮ありがとうございました。ルントシュテット伯にもよろしくお伝えください。」
男爵は一度頭を下げるとロビーに入っていった。
「しつけは僕も得意だと思っていたけど、ザイトリッツは駄々っ子のしつけが上手だねえ。」
と、腹黒からは言われた。
早く帰って晩餐を楽しみたい。
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