16話:捕虜交換の余波
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雰囲気だがどこか陰がある。捕虜としての生活が8年近く続いたのだ。心労がまだ残っているのだろう。
さてと、そろそろ本題が始まる頃合いだろうけど一応、軍部は全力で帰還兵を守る姿勢だから余程の事でもない限り大丈夫だと思うが。
「実は、帰還兵の一部が共和思想犯の嫌疑で社会秩序維持局からかなり強引な捜査を受けておりまして。捜査対象者は帰還兵の中でも家族が農奴に落ちている者で家族も社会秩序維持局に押さえられているようです。実質、人質にされているようなものなので取り調べもやりたい放題ですからどうしたものかと。」
これはうまい手だ。というかあいつらって本当に強欲だよな。勅命なのにここまで蔑ろにできるものなのだろうか。
「うーむ。思想犯として有罪にされればさすがに軍も守り切ることが難しくなるがどうしたものか。なにか取引材料があればとは思うが......。」
「先代のルントシュテット伯から少し聞いていたのですがミヒャールゼン提督暗殺事件の件は非公式にはどこまで調査されておりますでしょうか。社会秩序維持局との交渉材料に使えればとも考えていたのですが。」
「あの件は私も詳しくは知らないのだが、社会秩序維持局の失態以上に、軍の落ち度が大きくなるから取引材料にするには厳しいかもしれんな。」
ふむふむ。ネタはあるけど弱いってことかな。ただ、家族も容疑者扱いで捕らえたのは、強引に取り調べる為だろうが、悪手でもあるんだよね。
「父上、この件は殿下にもご相談した方がよろしいのではないでしょうか。内々にこの後、レオの件でご報告に上がる予定でした。お忍びでとのお約束なので父上にご同席頂くのは難しい状況なのですが。」
「お前はまたそのようなことを。殿下は気さくな方だが、そこに甘える様な事があってはならんぞ!」
父上から久しぶりに釘を刺された。
俺が急に発言したので、男爵は少し驚いたようだ。
「男爵、当家で新しく作った酒の差配を殿下にお願いしているのです。そのご縁で、御傍でお話を伺う機会があるのです。」
男爵は少し考え込んでいたが、
「そうなのですか。ザイトリッツ様、その場に私は同席してはいけませんでしょうか。帰還兵代表として、顛末は確かめておきたいので。」
おおう。そこまで責任感じているのかあ。
まあ、約束事を守ってくれれば問題ないけど。
「お忍びである事をご留意頂ければ大丈夫だとは思いますが。」
「男爵、お忍びだなどと言って、ザイトリッツは私に隠れて色々とやっているようなのだ。殿下に甘えすぎることがない様、お目付け役をお願いできればありがたい。」
うすうす何か勘づいてるのかなあ。
まあいいか。
「では、もう少ししたら出ますのでこちらでお待ちください。」
どうしたものか。今日は事前
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