REST STAGE :灰被りの憧憬
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は、喋らない。だがブロックのような部分の色が一部青色に変わり、全体でも〇の形になる。
「命令です。ではUB:LAY、彼女の声に合わせて【戦闘携帯】にしてあげてください」
「せんとうけいたい……?」
「肯定です。貴女がヒーローになるための力です。大きな声で、『変身』!!と言ってください」
「えっ……へ、へんしん」
恥ずかしさから、蚊の鳴くような小さな声。それにスズは首を振る。
「却下です。もっと大きな声でお願いします。貴女が憧れたヒーローのように」
「で、でも……大きな声なんかもうずっと出してなくて……」
この家に来てからは、泣くとき以外はずっと声を潜めて、姉たちに聞こえないようにしていたから。大きな声で叫ぶなんて忘れていた。つもりだった。
「否定です。貴女は今さっき、UB:LAYに大きな声で感謝をしています」
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「レイ……頑張って、って言ってくれてるの?」
UB:LAYの顔のブロックの色が電光掲示板のように変化する。ラディにはそれが激励に見えた。
「再開です。貴女の声で、UB:LAYは貴女をヒーローにする力を与えます。あとは、あなたの意志だけです」
「……!」
ラディは、自分の纏うぼろぼろの服を見る。こんな格好は、嫌だ。でも、姉たちのような、綺麗な女の子の恰好も、似合わない。笑われるのが怖い。
だけど、テレビの中のヒーローのようになれるなら。顔も体も装甲を纏い、敵を倒し人を憎まずみんなを助ける存在になれるのなら……
「私は……いや、オレは!お前の力を求める!『変身』!!」
それは、為った。レイの体がばらばらのブロックになり、ラディの体を覆っていく。頭を、胸を、腕を、足を。灰色と赤で構成された装甲となり、さらに彼女の手には、おもちゃの様に角ばって大きく、それでいて中から実弾以上の力を感じる銃が握られていた。
「素敵です。では行きましょう。案内はスズがします」
「……ああ!」
彼女は駆けた。助け出し、決別すべき人たちのもとへ。
「ラディ、朝だよー!朝ごはんだよー!起きてよー!」
「んん……今起きるから待って」
その半年後、家族と訣別したラディはクルルクの住む孤児院で暮らしていた。クルルクのノックに、寝ぼけた声で返事をする。
ベッドから降りて、パジャマのままドアを開けると半そで半ズボンの上からエプロンをつけたクルルクが立っていた。
「今日は僕が目玉焼き二つ作ったから、早く食べないと冷めちゃうよー」
「……固ゆで?」
「もちろん!だってラディ半熟嫌いでしょ」
「うん。ありがと」
最初は、また年上の子どもが
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