REST STAGE :灰被りの憧憬
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濯物は上に舞い上がり──二階の、ベランダに戻った。見上げれば、土も払われ綺麗になっている。
ぽかんと見上げていると、さっきの女性、スズが後ろから歩いてきた。
「再開です。スズは、貴女を助けに来ました。だから、助けてほしい人がいます」
「あなたは……誰?かあさまの知り合い?」
スズは首を振る。
「回答です。スズが誰か、は難しい質問です。後ほどゆっくりお話しします。説明です。さっきの地震で、貴女の姉たちのいる建物が大きく崩れました。貴女が彼女たちを助けてほしいのです。そのために必要な力は、スズが用意しています」
「えっ……!?」
驚く。でも揺れがすごく強かった。建物が壊れてもおかしくないのかもしれない。だけど。なんで自分に頼むのか、とか必要な力って何、とか思うところもあるけれど。
「……いやよ。あんな人たち、助けたくない」
それが当然の本心だ。自分にさんざんひどいことをした人たちを、どうして助けないといけないのか。
「あんな人たち……死んじゃえばいいんだわ」
ひどいことを言っている、と思う。自分が向けられたこともある言葉を口にしてラディの胸が傷んだ。
スズと名乗る女性は、自分の言葉に苦しむラディに表情一つ変えずに言った。
「同意です。そうかもしれません」
「……じゃあ、帰って」
「反論です。しかしだからこそ、そんな姉たちのことも助ける貴女はヒーローです。ヒーローとなった貴女は、こんなところでなくもっとふさわしい居場所があります。その場所も、スズは用意しています」
「ヒーロー……」
昔、まだ実母と一緒に暮らしていた時にテレビで見た、かっこいいヒーロー。ほんとは男の子が見るものよ、なんて笑われることもあったけど、好きなように見させてくれたあの頃を思い出す。
「質問です。今の家族を見捨てて誰の味方もいないまま生きていくか。嫌いな人達を助けてからさよならしてヒーローとして生きていくか。どちらがいいですか?」
スズの目は、氷のように冷徹だった。ラディがもう一度帰ってといえば、本当に帰っただろう。
ラディの答えは、決まっていた。
「感謝です。約束は守ると誓います。召喚です。UB:LAY、出なさい」
スズが青いボールを開くと、巨大な煙突を灰色のブロックで作ったようなポケモンが現れた。面を一つこちらに向けて、中心にある二つの点が目のように自分を見つめる。そのポケモンを見て、ラディは直感する。
「あなたが……洗濯物を、元に戻してくれたの?」
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↓
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■〇〇〇■
「……ありがとう!」
そのポケモン
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