第六十九話 西に向かいその九
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「元阪急の足立さん?」
「あっ、知ってるんだ」
「アンダースローでシンカーが得意だった」
「よく知ってるね」
「生まれる前の選手だから実際にテレビでは観ていないけれど」
昭和四十年代から五十年代に活躍した選手だ、日本シリーズでも活躍した。特に昭和五十一年は日本一になると自惚れ舞い上がっていた巨人を見事成敗しこの世に正義が健在であるということを知らしめた。義挙であった。
「凄い選手だったわね」
「その人競馬が趣味でよく当たったそうだけれど」
「欲を出さなかったのね」
「そうしたら勝てると言っていたしね」
「そうよ、結局ギャンブルはやって儲けるんじゃないわよ」
「お店をやって儲けるものだね」
「そうよ、だから止めた方がいいわよ」
またしてもこう言った留奈だった。
「そういうことでね」
「じゃあおいらも今回は止めておくよ」
「そうするのね」
「うん、あと君の今の話は忘れないから」
「旗揚げしたら」
「ちょっと国家でカジノを経営しようかな」
「それいいわよ、ただ民を破産させないことね」
このことは大事だとだ、留奈は話した。
「それはそれで問題だから」
「馬鹿な人の馬鹿な行いは止めるべきかな」
「そうでしょ、確かにギャンブルに精を出すのは愚かだけれど」
自分の親戚の漫画家のことを思い出しながらだ、留奈は淳二に話した。
「それでもね」
「そうした愚行を止めるのも政治だね」
「そうよ、救民もね」
「政治だってことだね」
「お金は儲けてもね」
「民の破産は防ぐ」
「そうしないとね、それにギャンブルを国家が経営して管理したら」
留奈はさらに話した。
「お金が入るだけじゃなくてヤクザ屋さんの資金源も断つから」
「一石二鳥だね」
「三鳥よ、ヤクザ屋さんはお客さんが破滅してもやらせるでしょ」
「お金を搾り取るね」
「そこから高利貸しもあるけれど」
「そうしたヤクザ屋さんの副次的な悪事も防ぐから」
「だから三鳥よ」
一石二鳥どころかというのだ。
「そうなるのよ」
「じゃあ余計にいいね」
「戦前の日本も阿片国家が管理したでしょ」
台湾でそうした、これは台湾での阿片の蔓延を見て当時台湾にいた後藤新平が考え出した政策である。
「阿片を国家の専売にして」
「ああ、それで阿片の蔓延を防いだんだったね」
「阿片の吸引は免許制にしてね」
そして新たな免許を出さなかったのだ。
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