暁 〜小説投稿サイト〜
空に星が輝く様に
74部分:第六話 次第にその十二
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第六話 次第にその十二

「あいつが」
「あいつって?」
「今度はどうしたの?」
「ああ、今度の月曜の九時からのドラマのね」
 流石に同じ誤魔化し方を続けてする訳にはいかなかった。星華はそれで今はこう言うことにしたのだった。月美のことは言うわけにはいかなかった。
「ヒロインだけれど」
「ええと、あの背の高いショートカットの」
「あの人?」
「そう、あいつって言ったらあれだけれど」
 取り繕いながらの話だった。
「あの人って何かね」
「好きになれないとか?」
「それでなの?」
「好きになれないんじゃなくて合わない気がするのよ」
 こう言うことにしたのだった。
「何か役にね」
「そうかな」
「別にそうじゃないわよね」
「そうよね」
 だが周りはこう言うのだった。
「別にね」
「そういうわけじゃないわよね」
「そうそう」
「だったらいいけれど」
 演技をそのまま続ける。
「相手役の人は好きよ」
「ああ、元仮面ライダーだったっけ」
「あれ、戦隊じゃなかったっけ」
「どっちだったかしら」
 皆この辺りの記憶はあやふやだった。
「まあとにかく背高いしね」
「格好いいしね」
「いい感じよね」
「あの人は好きなのよ」
 これは星華の本音だった。
「前からね」
「そうなの。あの人はいいのね」
「それで」
「ええ、いいわ」
 また言うのだった。
「とにかく。お家に帰って」
「どっか寄らない?その前に」
「コンビニでも」
「どう?」
「ああ、それはパスしとくわ」
 星華はそれは断ったのだった。
「もう帰ってね」
「それで晩御飯食べて」
「それからお風呂入る?それともドラマ?」
「お風呂」
 そちらだというのだった。
「そっちにするわ。すっきりとしてからね」
「そう、それからドラマね」
「そうするのね」
「ええ。時間もそれで丁度いい感じになるし」
 こう部員達に答えるのだった。
「それじゃあね」
「そうね。それにね」
「それに?」
「練習試合がずっと終わったら」
 それからの話もされるのだった。
「あれよ。インターハイだから」
「また練習が遅くなるみたいよ」
「またなの」
 星華はそれを聞いて少しうんざりとしたような顔になった。そのうえでの言葉であった。言いながら首を右に倒しもさせている。
「何か忙しい部活ね」
「そうね。結構ハードよね」
「先生も先輩も意地悪とかしないからいいけれどね」
「そうよね。部長もいい人だしね」
「それはないのがいいわよね」
 これはいいとされる。少なくとも顧問にも先輩にもそうした人間はいない。これは彼女達にとっては非常にいい助けになることであった。
「平和で和気藹々ってしててね」
「それで行きたくないって
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ