13話:謁見と内々の話
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ちは無欲じゃな。」
というと、引き続き励むようにとの言葉を残して部屋から出て行った。こうして初めての謁見が終わったが、まあこんなものかというのが感想だ。
現帝オトフリート5世は、よく言えば締まり屋。悪く言えばドケチなのだ。門閥貴族どもが軍の利権を狙った背景の一つとして、陛下が予算を絞り過ぎた為に今までの利権の旨味が減ったことがあげられる。別に門閥貴族に理解を示すつもりはないが、使い切れない程お金をため込むなど不経済でしかない。陛下には悪いが、俺はそこまで好印象を持っていなかった。そして再び狐顔に先導されながら、裏口にもどり地上車に乗り込む。
父上はルントシュテット邸に戻るだけだが、明日には領地にもどる俺にはもう一つの用事がある。幸い、フランツが従者として同乗していたのでお供も揃っている。帰路の半分まで来たあたりで俺は切り出した。
「父上、明日には領地へ発ちますが、確認せねばならないことがございます。幸いフランツもおりますので、父上をお送り次第、出かけてまいりたいと存じます。」
というと、
「わかった。お前の事だから私に報告すべきことはきちんと報告してくれると信じているぞ。謁見での態度は立派なものだった。おばあ様もカタリーナも話を聞きたかろう。晩餐には遅れぬようにな。」
というと、屋敷に着くなり地上車を降りて行った。俺が向かうのは飲み屋街のマスターの店だ。今日は午後から休業にしてもらい貸し切りにしている。ただし宴会をするわけではない。マスターの店につくと二階の個室に向かう。申し訳ないがフランツにはドアの外に控えてもらう。
「おお、ザイ坊、先に始めておるぞ。」
部屋に入ると兄貴と叔父貴が料理をつまみながら酒を飲んでいた。まだ始めたばかりって感じだ。
「兄貴、さすがにあの知り合い方で実は殿下でしたは演出が効きすぎだよ。まあ叔父貴が誰の侍従武官か位は調べておくべきだったけどさあ。」
というと兄貴は嬉しそうに
「そうか、ザイ坊を出し抜くことができたとは。私も捨てたものではないな。」
と言いながら、叔父貴と上機嫌で笑い出した。領地に戻る前に話がしたい旨を伝えたとき、ここを指定してきたのでお忍びの関係で時間を取りたいのだろうと思ったが、その認識でよかったようだ。
「兄貴と叔父貴のおかげで謁見もうまくいったよ。ほんとにありがとう。で、今後の事で話がしたかったんだ。まあ飲みながら相談にのって欲しいんだけど......。」
「うむ。ザイ坊が酒が飲める歳なら一緒に楽しめるのだが、お主がいくら早熟とは言えいささか早すぎるからのう。」
おれは兄貴と叔父貴にお酌しながら話を進めた。
「今後の事についてだけど、大きくは2点あるんだ。まずはレオに関してだけど、兄貴に差配もお願いする前提にな
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