12話:兄貴と叔父貴
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おったか。」
「はい。しかも事を公にしない様に圧力までかけております。本人も一時重体だったことも思えば、許すことはありますまい。その門閥貴族は兄君、リヒャルト皇太子の派閥でございますのでこちらに何か含むところはないでしょうが、弟君クレメンツ殿下の派閥も似た様なことをしております。ザイ坊が彼らを一体どんな目で見ているかと思うと・・・。
今回の件も伯爵家の力や、陛下からお褒め頂くことを考えれば多少の介入ははねのける事が出来たはずです。この度の事は、もともとザイ坊は殿下に後ろ盾をお願いすると決めており、ルントシュテット伯をそのように決断させたというのが実情かと存じまする。」
「そうか、兄でも弟でもなく私をザイ坊が選んでくれたか。レイの件は命名の経緯を考えると、かなり思い入れのある事業のはず。それを放蕩者の私に任せるか。取り巻きを集めてやりたい放題している連中なんで眼中にない。兄貴、頼むぜと行動で示している訳だ。人たらしじゃなあ。」
私はそう言いながら笑った。
グリンメルスハウゼンは少し困った表情をしておる。
「ザイ坊と出会わなければツケも払えず、勘当されておっただろう。蔑まれ続けた人生だったが、そんな私に信愛をくれ信頼をくれたのじゃ。グリンメルスハウゼンよ。ザイ坊はまだ6歳じゃ。いずれ無茶もしよう。いざというとき助けてやれるように取引材料を集めておいてくれぬか。」
「かしこまり申した。このグリンメルスハウゼンもザイ坊に叔父貴などと呼ばれ、楽しき時間を過ごさせて頂きました。殿下がそこまでおっしゃるならいざという時にお役に立てるよう手配りしておきましょう。」
済まぬな。グリンメルスハウゼン。私の侍従武官などにならなければ、今少し日の当たる人生を歩めたであろうに。いつか報いることができれば良いが。
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