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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
12話:兄貴と叔父貴
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用意してほしいと打診してきた。自分が価値ある人間だと認めてもらえたような気がした。

いったい誰がろくに知らない放蕩者にポンと300万帝国マルクも渡すだろうか。放蕩者ではない、ちゃんと私には価値があるのだとザイ坊は認めてくれたのだ。
あやつが新しく作った大吟醸とやらも素晴らしかった。自分がこれに携わったのだと思うと誇らしかった。世に出すにあたり先に皇室のお墨付きを得ておきたいというのももっともだし、私なら簡単にできる話だ。

父上が酒を楽しむ頃合いを見計らって試飲を頼めば良いだけだ。数十年寝かしたワインと同等の名酒が大量に献上されるとなればケチな父上の事だ。お墨付きどころか少し煽れば御用達の認可を出した。

小遣いでもせびりに来たと父上は思っておったはずだ。はじめは胡散臭げじゃったが、大吟醸を一口飲むと、手のひらを返したように上機嫌になった。私の味覚は、唯一絶対などとあやつらがあがめ立てる父上にも通用したのだ。放蕩者の面目躍如と言った所か。

今日の話し合い次第でどうなるかわからなかったが、大吟醸。いやレオに今後も関われる事となった。ザイ坊の期待に応えなければならん。しっかり励まねばな。そんなことを考えておると、見送りが終わったのであろう。グリンメルスハウゼンが戻ってきた。

「殿下、ルントシュテット伯とザイ坊の見送りを終えましてございます。しかしザイ坊はいろいろとよく見えておりますな。改めて驚きました。」

「うむ。調査の報告の方はまとまっておるのかな?まあ、後ろ盾になることをお主は止めなんだから問題はないのであろうが。」

「はい。資金の出どころも問題ございませんでした。どうやら祖母のマリア殿から資金を用立ててもらい領地改善を行い、増えた収益の10%をザイ坊がもらう取り決めになっているようです。殿下への資金はザイ坊が稼いだものから出たようですな。」

「あの若さで収益まで上げておるのかさすがじゃな。レオの一件でもさらに収益をあげるじゃろ。大したものじゃ。」

グリンメルスハウゼンに視線を戻すと、何やらまた報告することがあるようだ。

「本日も感じましたが、門閥貴族に対しての言動が気になりましたので念のため確認いたしました。後ろ盾になられる以上、踏まえておかれた方がよろしいかと存じますので、ごちらにお持ちしました。」

というと、一枚の資料を取り出した。中身に目を通したが、確かに踏まえておいた方が良い事が書かれていた。

「先の大戦以来、門閥貴族が軍に入り込んで利権を得ようと画策しておることも、それを防ぐ為に、ルントシュテット伯を含めた軍に近い貴族たちが四苦八苦しておるのは聞いておった。ザイ坊が門閥貴族に含むところがあるのもそのあたりが原因かと思ったが、ほぼ母親に等しい乳母を事故とは言え門閥貴族に殺められて
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