10話:兄貴の感想
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い時間に感じた。兄貴が感想を紡ぎだした。
「ザイ坊、すごい酒をつくったな。正直ここまでとは思わなんだ。この酒の凄味は特に料理を食べる合間に飲むと分かる。どんなにいいワインであれその香りが残るものだが、この酒は芳醇な香りがあるのに料理の後味を全て洗い流すかのようにさっぱりとさせてしまう。
合わせ方にもよるが、特にコース料理でそれぞれの味わいを楽しみつくす意味ではこれ以上の酒はないであろうし単体でも十分に芳醇で薫り高く、飲み口はすっきりと心地よいほどだ。」
兄貴が確認するように叔父貴に目線を向けるが叔父貴も同意するかのように一度うなずいた。俺が知ってる中でこの2人以上に酒に詳しい知り合いはいない。横目で見るとマスターも飲みたそうな表情をしているが、今は兄貴と叔父貴の話が優先だ。俺はもう一度大吟醸を注ぎなおした。
「で、ザイ坊よ。この酒の売り方も相談したいとの事だったがそちの思うところを聞かせてもらえるか?」
前回と違い、真剣な面持ちだ。腹黒と右腕も、真剣に話を聞いている。
「今考えているのは陛下に献上してお墨付きをもらう事だけど、もしお墨付きをもらえるなら兄貴みたいにこの酒の良さを分かる人で、かつ門閥貴族の介入を跳ね返せる人に取り仕切ってほしいと思ってるよ。
詳しく言うのは無粋だけど、長男と3男が争っている家があるだろ?その取り巻きが調子に乗っててさ、色々と無理難題を吹っ掛けられてるみたいなんだ。仮にお墨付きを頂けたとしても、製造法を取りあげようとか振り分けをしてやろうとか言って、入り込もうとしてくると思う。両親は疲労困憊の状態だし、これ以上負担は増やしたくない。だから兄貴の伝手で、そういうのを跳ね返して、高値で売りさばける人を後ろ盾にできれば嬉しいんだけど......。」
「ザイ坊よ、因みにだがこの酒は何本分用意してきたのだ?」
「一応500本分用意してきたよ。兄貴たちにも気に入ってもらえたら渡しておきたいし、親分やマスターたちにも飲んでもらいたかったし。」
兄貴は真剣な表情で考え込みながら
「ザイ坊の気持ちは分かった。その気持ちに応えられるように動いてみよう。それでよいか?良いなら叔父貴のところに100本分明日には届くように手配りをしてほしい。」
「分かった。右腕に手配させるよ。叔父貴、無粋な話だけど手元は寂しくない?追加が必要なら手配するけど。」
「そちらは大丈夫じゃ。ザイ坊にはいつも気にかけてもらって助かっておる。」
兄貴の評価はこれ以上ない物だろう。正直ホッとした。右腕にちょっと離席してもらって叔父貴の所に大吟醸を運び込む手配をしてもらう。こういう時は余分に手配したほうがいいから150本を用意した。
その後はまた兄貴のお酒談義を楽しんだ。いつの間にか腹黒も相槌を打ちながら
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