暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
10話:兄貴の感想
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宇宙歴752年 帝国歴443年 12月下旬
首都星オーディン 宇宙港
ザイトリッツ・フォン・ルントシュテット

この人生で3回目のオーディンに降り立った。年末年始を家族で揃って過ごすために領地から出てきたのだ。とはいえ、今回のメインは兄貴にやっと完成した大吟醸酒を飲んでもらい、感想と売り方のアドバイスをもらうことだ。

叔父貴を通じて兄貴とは定期的に連絡を取っていた。一番ハイリターンが見込めるのは皇室のお墨付きをもらうことだ。大吟醸酒の出来はまだわからなかったが、陛下に献上するなら見栄えもこだわりたかった。だが残念ながら領内では工業品レベルの容器は作れても工芸品レベルのものは難しかった。

その旨も相談すると、数パターン、工芸品レベルの酒瓶が叔父貴から送られてきた。
正直、適当なワインを入れてもとても高いものだと勘違いするレベルの出来だった。
すぐに1瓶あたりの製造原価の確認と兄貴がいいと思うデザインで100本、用意してくれるように依頼した。

もちろん叔父貴の口座に追加で200万ほど振り込んでおいた。領地を発つ前に瓶の用意はできている旨は連絡が来ていたので兄貴や父上に振る舞う分も含めて500本分の大吟醸酒を低温保存でもってきた。

オーディンのルントシュテット邸のワインセラーには大吟醸酒用の大型冷蔵庫も用意した。ここまでするには当主である父上の了承が必要だ。おばあ様にちょくちょく手紙を書いてもらい、面白そうだから事の顛末を見届けるまで好きにやらせてほしいと、お願いという文面の強制をしてもらった。好き放題出来ているが、折を見て機嫌を取る必要があるだろう。

皇室献上用の瓶は叔父貴が管理してくれているが、まずは実際に味わってもらう必要があるだろう。俺はまだ酒は飲めないしな。そんなことを考えているうちにルントシュテット邸に到着した。割り当てられた部屋に荷物を置くと6本分の大吟醸酒を用意してフランツに持ってもらった。

今回はフランツにもついてきてもらう予定だ。さすがに6歳児一人で飲み屋街をうろうろするわけにもいかない。準備がおわって玄関に向かうと声をかけられた。

「ザイトリッツ。前回は兄上と随分お楽しみだったようだね。僕は悲しいよ。君には兄が2人いるのに、片方とばかり楽しんで。」

振り返ると次兄のコルネリアスが少しすねた様子で立っていた。この人は多少機嫌をとっても見透かしそうだけどまあいいか。

「これは兄上、まさに天のお助けです。フランツと向かおうと思っていたのですが、いささか心細く感じておりました。コルネリアス兄上にご同席頂けるなら大船に乗った気持ちです。」

少し芝居がかりすぎたかな。一瞬ジト目をしたが機嫌は取れたようだ。

「そこまで言われては、兄として協力しないわけにはいかないね。さあ出かけよ
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