9話:大きな出会い
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に娼館に行こうとしていたわけでもないし、やましい事は無いのになあ。まあ、ここは俺の出番だろう。
「お心遣いありがとうございます。別にお酒を飲みに参る訳ではないのです。新たに酒造を始めることを考えておりまして、一度、飲み屋街を見てみたいと後ろの2人に強請ったのです。場慣れない3人組ですのでご心配になられたのでしょう。ありがとうございます。」
「ほほう、酒造とな。酒に関してなら一家言程度なら話せるしこの辺りにも詳しいが良ければ付き合わんか。」
うーん。正直お酒の事は兄上もメルカッツ先輩もまだまだこれからだろうし、これも何かの縁だ。話を聞いてみるのも一興だろうが士官候補生である事は内密にした方がいいだろう。ここはあの手で行くか。
「お誘い、ありがとうございます。とはいえ何かの本でこういった場では本名を名乗りあうのは無粋で、お互い仲間内での呼び名で呼び合うのが粋と読んだ覚えがあるのですが、間違いないでしょうか?」
「うむ。場馴れた者たちはそういったことをしておるな。」
「分かりました。さすがに呼び名をどうするなどと相談するのも無粋でしょう。私が即興で考えたいと思いますがよろしいでしょうか?」
そういうと声をかけてきた男性とそのお伴は目を合わせたが
「面白い。良き呼び名を期待するぞ。」
と返してきた。
因みに兄たちは急展開についてこれていないようだ。
「分かりました。では後ろの茶色い方は堅物、銀色の方は紳士。あなたは......。そうですね、この集まりの兄貴分ですから兄貴。後ろの方は叔父貴、私の事は......そうですねザイ坊とお呼びください。」
「面白い。そういう事にしよう。どうせ酒は飲めまい。旨い料理を出すところに案内しよう。ついてまいれ。」
兄貴は上機嫌になって先頭を歩きだした。後ろの二人はついていくか戸惑っていたが、俺がテクテクと歩き出すと流れに押されたのかついてきた。
兄貴はメイン通りから一本入った隠れ家的なお店に入っていった。結構いい雰囲気。前世でいう隠れ家Barみたいな感じだ。奥まったテーブル席に座ると兄貴が早速ぶちまけた。
「我らはあまり持ち合わせはないが大丈夫かね?」
堅物と紳士が何故かこちらを見てくるが
「ご心配には及びません。黄金でも食べない限り何とかなるでしょう。」
と答えた。まあ、前世の癖で1万帝国マルクは持ち歩いている。上級貴族が秘蔵しているワインでも開けない限り何とかなるだろう。
「ザイ坊は見かけによらず甲斐性もあるようじゃ。堅物と紳士も見習わねばならんな。そうであろう叔父貴?」
などと、この場を粋に楽しみ始めた。注文は初めての店だし兄貴にお任せした。初めの一杯と数品料理が出てきてつまみ始めたあたりで兄貴と叔父貴に話しかけた
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