9話:大きな出会い
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頃の男性が談笑していた。
「失礼いたします。末弟のザイトリッツと申します。いつも兄がお世話になっております。私の事もお見知りおき頂ければ幸いです。」
長兄が連れてくるという事はまともな軍人の卵だろう。名前を覚えておいてもらうに越したことは無い。
「これはこれは、ご丁寧に痛み入る。ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツと申します。」
「ザイトリッツ。メルカッツ先輩は寮で同室でな。今回の休暇は先輩が帰省するには少し短すぎたので思い切ってお声がけしたのだ。失礼のないようにな。」
メルカッツ先輩とやらは歳のわりに結構落ち着いた印象を感じる。長兄ほど堅物という印象ではないが、実直であろうとしているローベルトとは相性はよさそうだ。とはいえ、お連れがいるとは誤算だ。きちんと相談の態で話を進めなければ。
「兄上、手紙ではお伝えしていなかったのですが、実はオーディンの飲み屋街をお忍びで視察したいのです。というのも、領地ではかなり豊作な状態で軍に糧秣を納めましたがそれでも余剰が見込まれるので、酒造を新たに始めることを検討しています。
そこで、一番の消費地であるオーディンの飲み屋街を実際に見て見たかったのですが、さすがにメルカッツ殿をお誘いするのはご無礼でしょうか?兄上が任官されてから統率する兵士たちは言ってみればオーディンの飲み屋街にいる方々と似たような方々ですから一度見ておくのもよろしいかと思っていたのですが......。」
兄が感心しないかのような表情をしだしたが、思わぬ助け舟が入った。
「ローベルト、弟君のいう事も一理あるかもしれんぞ。確かに我々は自己鍛錬を怠ってはおらんが実際、兵に接したことは無い。活かせるかどうかはともかく、見てみるのも一興では。我らは今更オーディンの名所を見たところで新しい発見はあるまい。」
おお!メルカッツ先輩いい人だわ。先輩からそう言われては、兄上も反対はしないだろう。
「先輩がそうおっしゃるならよろしいのですが、我らは未成年。飲酒は厳禁です。ザイトリッツ、ひと舐めといえども許さんぞ。よいな!」
そういうことで、ザイトリッツとゆかいな仲間たちはお忍びでオーディンの飲み屋街へ繰り出した。従士のフランツがついてきたそうだったか今回はお忍びなので我慢してもらった。
テクテクと3人で飲み屋街へ向かう。領地の視察で歩き回っていたせいか、なんとか二人についていくことができた。もっともまだ幼年の俺にかなり合わせてくれてはいたが。そうして飲み屋街に少し入ったあたりで、
「お若いの、この先はまだおぬしらには早いのではないかね?」
と20過ぎくらいの少しくたびれた印象の男性に声をかけられた。傍に30手前位の男性が控えている。目線を向けると兄上もメルカッツ先輩も少し焦っている。別
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