9話:大きな出会い
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宇宙歴752年 帝国歴443年 8月下旬
首都星オーディン ルントシュテット邸
ザイトリッツ・フォン・ルントシュテット
俺はオーディンのルントシュテット邸にいた。麦と米の収穫はかなりの成果が出ていた。小麦だけで3割増しの約520万トンが収穫できたし稲の方も20万トン近い収穫をあげることができた。
余剰分120万トンに関しては80万トンを軍に納品した。帝国量全体では少し不作という状況だったようで、例年なら納品価格は300帝国マルク/トンだが350帝国マルクでお買い上げいただくことができた。一括納品は先方も困るようだったので、保管料を無料にする代わりに、補給基地とルントシュテット領を結ぶ軍の定期船で定量ずつ引き取ってもらうことにした。
これだけで2億8000万帝国マルクの増収だった。おれの手元には2800万帝国マルクが入ることになるがそれだけではなかった。おそらくおばあ様は成功しても失敗しても良いように、布石を打っていたのだと思う。
取り決めでは昨年基準での増収分の10%が俺に入る事になっているが、てっきり直接的に因果関係が成立する増収分が取り分だと思っていた。だがおばあ様は一律で増収分の10%をもらえるように手配してくれていた。
結果として、9億帝国マルクを領地に投資した形になるがそいつらも回りまわって20%位が税金となり増収要因になっていたし、その投資が呼び水となって好景気になったため投資した5%の4500万帝国マルクが俺の懐に入ることになった。
正直、結果が出るまで不安だったし少しずつとはいえお金が入るのは精神衛生の面からも助かった。前世でいうポイントキャッシュバックではないが、今後なにか新しい事業を考えたとき、第一候補地に領地が選ばれやすくするとともに、仮に失敗しても多少はお金が戻る様に手配してくれたのだと思う。これは勝手な思い込みで、確認しようにもおばあ様ははぐらかすから真相は闇の中だが。
金儲けの第一陣は成功と言っていい状態な訳だが、なぜオーディンにいるかというと酒の市場調査の為だ。別に資料はいくらでも集められるのだが、第一陣はきちんと自分の目で確かめたからこそ成功できたとも思っている。
そんな中で、近況報告を兼ねて家族と手紙のやり取りをしていたのだが、長兄のローベルトが数日帰省することが分かった。さすがにオーディンの飲み屋街を観光したいとは言えなかった。オーディンを案内してほしいが仰々しいのは困るので、士官学校の制服ではない格好で案内してほしい旨を依頼していた。
可愛い末弟のお願いを長兄は喜んで聞いてくれた。
そして今に至るわけだ。
今更だが、酒造の件について抜け漏れがないか考え込んでいるとメイドが呼びに来た。頼りになる長兄が帰省したらしい。早速、遊戯室に向かうと、長兄ともう一人、同じ年
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