暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
8話:領地到着
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自分の財布からお金を出すこともなく30年以上が経過した。結果、持参金は粛々と増え続け今に至るわけだ。

前世でも年金生活のおばあちゃまが数千万現金でタンス預金してる話を聞いたが、星一つ領地にしてる伯爵家ってスケールが違う。とはいえお小遣い感覚でもらえる金額でもないので、今期の収益を基準に、預かった10億マルクをつかって増やした収益の10%を報酬としてもらい、期日はないがちゃんと10億をおばあ様に返す形にしてもらった。

先立つものが手に入ったので、結構思い切った勝負ができそうだ。早速だが、ビール・ウイスキー・日本酒の醸造・蒸留所の手配だったり農政担当者との面談設定をフランツに指示した。

そして領地に到着して農政担当官に農法の改善ポイントを伝えたり、醸造所の候補地を見て回ったり、稲の増産のため現地を見て回ったりと5歳児の身体には少しハードな日々が始まった。おばあ様も無理はするなと言いつつ、泊りがけの視察にはついてきて来てくれたし、自分で言うのもなんだが溺愛する孫との小旅行を楽しんでいたようだ。
実質領地経営をしていたとはいえ、伯爵夫人が領内を実際に視察することなどまず無い。自分の領地を見て回るという意味での新鮮だったようだ。長年の良心的な領地経営のおかげか、領民たちは視察を歓迎してくれた。もっとも田舎に有名人が来る感覚の方が近かったかもしれないか。

当初は結構おおごとになりそうな勢いだった。別に遠隔地にお金を落とす意味ではそのまま進めても良かったが、変に現地の負担になるのも問題なのでお忍びに近い形で手配してもらった。

正直、独裁制の権力の強さを体感する日々だった。右向け右ではないが、指示をだすとそのまま事が進んでいくのだ。農政担当もおおせの通りにいたしますって感じだし、もっと前例主義かと思ったけどビックリした。

こういうことはしっかり理解してもらって、徹底できるかが成否を握る。残業代の予算はこちらで持つことを伝え、仮に新しい試みが上手くいかなくても生産減少分は保証することにした。昔ながらの輪栽式農業が行われていたので、最新論文とすり合わせてかなりの改善策を実施できたと思う。さらに生産量を増やすには機械化を進める必要があるがそこまでの資金はとてもではないが用意できない。

稲作に関しては簡単に土地改良を行った。領民に還元する意味で一時雇で土木作業を進めた形だ。稲についてはすべて醸造に回すつもりでいる。

これで穀物の増産に成功すれば、牧畜にも手が出せるかもしれない。10億マルクの残高は1億マルクまで減ってしまったが、余程の天候不順でもなければ問題にはならないだろう。醸造・蒸留所に関しては雇用の創出も意識して機械化はそこまで進めなかった。

昨年の小麦の生産高は約400万トン。なるべく多く生産したいが、いくら隣の惑星と
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