6話:顔合わせと晩餐
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宇歴752年 帝国歴443年 1月9日 オーディン
ルントシュテット伯爵邸
ザイトリッツ・フォン・ルントシュテット
乳兄弟と誓約を交わして数日が経過した。主治医のローゼからやっと退院の許可が出て、俺はオーディンにあるルントシュテット伯爵邸にいる。
生まれて以来、俺は領地であるシャンタウ星域の館で養育されてきたし、力をつける意味でも早く領地に戻りたい。
とはいえ、本来は両親と兄たちとの顔合わせの為に領地からわざわざ出てきたわけだし、あんなことがあったとは言え、両親は多忙、兄たちもそれぞれ士官学校と幼年学校に在籍していることを考えれば俺抜きでも家族が揃うことはまれだろう。
事故の後遺症を理由に領地に戻りたがればおばあ様は了承しそうだが、それはそれで悲しませることにもなりそうだ。
金儲けをするにも多少は元手がいる。元手の出元はおばあ様しか当てはないし、そうでなくても溺愛されながら養育されてきたのだ。おばあ様がしっかり俺を養育していると示す意味でもここは時間を割く必要があるだろう。
特に父上や兄たちはいずれ俺が支える人物になる訳だから早いうちから人柄を見ておくに越したことはない。
今夜の晩餐は家族揃ってとり、明日には領地に出発する予定だ。フランツに追加で頼んだ資料を読み込んでいると扉がノックされ、おばあ様が部屋に入ってきた。
「ザイトリッツ、退院したとはいえ、あまり根を詰めては身体に障りますよ。ローゼから聞きましたがだいぶ資料を読み込んでいるようですね。いったい何を読み込んでいるのです?」
「おばあ様、ご心配には及びません。体調は万全です。ローゼは私のお産の際に取り上げてくれたことは後から知りましたが何やら彼女には安心感を覚えてしまい、甘えてばかりでした。私は良い患者ではなかったようですね。」
ローゼが俺の事を心配してくれるのは有り難いが、正直おばあ様はローゼの数倍難敵だ。攻め口上を与えるような告げ口は控えて欲しいところだが。
俺が落ち込むそぶりすると、
「別に責めている訳ではないのです。ただ、事故の前はザイトリッツは身体を動かす事を好んでいたのに急に資料にくぎ付けになりましたから、心配になったのです。」
「そうでしたか。実は記憶の確認のための資料をフランツに頼んだのですが、それを読み込むうちに領地を豊かに出来そうなアイデアを思いついたのです。とはいえ、若輩者の浅知恵で失敗すれば当家の名誉に関わりますし領民の生活にも関わりますので、思いついたことが実現できるのか資料とにらめっこをしている次第なのです。」
少し腹黒いが、ここは布石を打っておこう。おばあ様は少し驚いた表情をしながら
「あらあら、領地にいてくれるだけでも私の支えなのにさらに力になってくれるつもりなのね。今後に期待という所かし
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