5話:決意
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が、オーディンの屋敷での家族団らんは飛ばして早く領地に戻りたい気持ちが強くなっていた。
「コンコン」
ノックされるとともに、扉が開き、おばあ様とパトリックが病室に入ってきた。
「ローゼから話は聞きましたが、かなり回復したようですね。体調はどうですか?」
「おばあ様、パトリック、お見舞いありがとうございます。昨日が嘘のように体調は良くなっております。明日にでも退院したいくらいですが、ローゼ先生からは今少し安静をといわれております。」
おばあ様は安心した表情をしつつ、一瞬パトリックに視線を向けてから、話を進めた。
「ザイトリッツ、あなたもルントシュテット家の男子です。きちんと受け止めるには早いかもしれませんが、話しておかなければならないことがあります。」
それから今回の事故の経緯と落としどころについて話し始めた。
・本来なら死んでもおかしくない事故であった事。
・俺が生きているのはカミラが身を挺してくれたおかげでカミラは事故で亡くなった事。
・事故の相手は次期皇帝の最有力補の取り巻きの嫡男であり、大事にしないように圧力をかけられている事。
・ルントシュテット家を含めた軍部系貴族は未だダメージから回復していない為、門閥貴族とは事を構えるわけにはいかない事。
・事は内密にするが、相場の賠償金を受け取ったうえで、軍部に優先的に糧秣を納入する権利を得た事。
そんな話を視線を合わせない様にしながら話してくれた。
「おばあ様、話しづらいことをお話し頂きありがとうございます。カミラは母同然の存在で、傍にいてくれるのが当たり前の存在でした。本来なら、覚醒した日のパトリックの表情で、カミラに何かあった旨、気づきべきでした。おばあ様に気を使わせてしまい申し訳ありません。」
俺は敢えておばあ様に目線を合わせて答えた。静かにだが経験したことがない強い怒りを感じていた。人はとてつもなく怒ると逆に冷静になるものらしい。
「おばあ様、パトリックと話したいことがあります。2人きりにしていただけますか?」
少し躊躇したが、おばあ様は心配そうな表情をしながら病室をでていった。
俺はパトリックに目線を向ける。
「パトリック、君の父上はおじい様の副官として戦死しカミラは私を身を挺して守り、亡くなった。君の両親は文字通り身命を賭して仕えてくれたと思う。」
こんなことを同い年の子供に言うのは軽率かもしれないが俺は感情を抑えられなかった。
「私が軍人として大成できるかはわからないので君の父上の敵をとるとは言えないが、私たちのカミラ母上に関しては、いつになるかはわからないがきっちりけじめをつける。」
パトリックは驚いたようにこちらを見ている。
「伯爵号をもつ当家にすらここまで傍若無人なのだ。今日、
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