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戦闘携帯への模犯怪盗
STAGE3-1:スズ、裏々だらけの偶像少女
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『出かけてくる、帰ってくるまで私の分のご飯はいらない』

 ラディとマズミが再開した翌朝、クルルクが朝食を取りに行くとテーブルには書置きが残されていた。

「帰ってくるまで……か」

 今までなら夕ご飯までには帰ってくるとか、戻る時間の予定をちゃんと書いていた。彼女の傷ついた顔を思い出し、クルルクはため息をつく。

「ポケモンバトルも僕と同じくらい上手になって、もうずっと心置きなく楽しめると思ってたんだけどな……ラディ、どうしたんだろう」

 私にはずっと続けるのは無理だと、はっきり彼女は言った。一年ほど前からメレメレライダーと呼ばれるのを恥ずかしそうにしていたり、少年っぽい演技をすることにどこか疲れているような気はしていた。だけど、まさかあんなことを言われるなんで思ってもいなかったのだ。
 キッチンに行ってライチュウと朝食を作る。クルルクは目玉焼きを担当し、ライチュウはサラダやシリアルの準備を始めた。ついでにテテフが出てきて冷蔵庫の中の果物を物色する。アシレーヌやラランテスと三匹で食べるためサイコキネシスで何個もふわふわと浮かべていく。

「ラディ、ヒーロー辞めちゃうのかな……子供たちがっかりするんだろうな……」
「……ライ、ライイラ!」
「へっ!? あ、ああごめんごめん!」

 ぼんやり考えていたところを、オイ、クルルク!というニュアンスで呼ばれ意識を戻される。焦げ臭いにおいとともに、目玉焼きは焦げ付き始めていた。慌てて火を切るクルルク。

「あーあ、ラディいないのに固ゆでになっちゃったや……」
「ライィ、ライライ?」
「……んー、そりゃ気になるよ。あんな泣き方してるの初めて見たし」

 口を開けばラディのことを心配している自覚はある。バトルに負けて悔しくて泣くとき、悲しいドラマや漫画を見て泣いたとき、もう三年の付き合いになるので色んな涙を見てきたはずだが、昨日マズミと会ったときの涙はそのどれとも違っていた……ように見えた。
 またぼんやりしそうになるクルルクに、テテフが不安そうに果物を一個差し出してきていた。

「大丈夫だよ。ちょっと焦げたけど卵は十分食べられるし……それよりみんな。今日はラナキラマウンテンに行くよ!」
「!!」

 テテフの目が輝く。ボールの中にいるオンバーン、アシレーヌ、ラランテスもその言葉に反応してクルルクを見た。

「ラナキラマウンテン頂上にあるポケモンファクトリー。壊れちゃったシルクハットを直せる場所だし……そこにいる島クイーン・スズならラディのことで相談に乗ってくれるはずだからね!ご飯を食べたらすぐ出発しよう!」

 ボールの中とテテフから元気のいい返事が聞こえてくる。その間淡々と準備を進めていたライチュウが全員分の食事を出してくれたので、クルルクたち
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