STAGE3-1:スズ、裏々だらけの偶像少女
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めないが、何も知らない人間が見れば彼女がロボットだといわれても信じないだろう。変わったしゃべり方をしているのは彼女曰く『ロボットとわかりやすくするためのキャラ付け』らしい。アイドルとして公の場所で話すときはかなり畏まった言動もするが、クルルクやラディのようなポケモンファクトリーが選定した人間と話すときはこんな感じだ。
「イライラ……」
クルルクの調子を外しまくる彼女に、ライチュウが頬から電気を迸らせ威嚇した。
「ライアー、いつものことだしそこまで怒らなくても……」
「こほん。切替です。あなたが来るだろうという予測はしていました。シルクハットが壊れた時の映像は見ていましたから」
「でも、今までロープウェイに乗ってるときに話しかけてきたことなんてなかったよね?」
「肯定です。今日はスズから少し聞きたいことがありまして。……ラディの様子で何か変わったことはありませんか?」
「……!うん、つい昨日のことなんだけど……」
渡りに船とは正にこのこと。相談しようと思っていたことを向こうから持ち掛けられて、クルルクは素直に昨日ラディとマズミとの会話、及びその時のラディの様子について話した。
「すごく傷ついた顔をしてた……今日も朝起きたらもう出かけてて、まるで僕と顔を合わせたくないみたいでさ……心配だよ」
「感謝です。……しかしラディもクルルクも最初あった時からずいぶん変わりましたね」
「そう? 昨日ラディにクルルクは変わらないよねって言われたばかりなんだけど……」
「否定です。人間は変わるものですよ。特にあなたは──」
「ライ!」
会話を遮るようにライチュウが尻尾でロープウェイの窓をぱしんと叩く。スズが会話に入ってからずいぶん苛立った様子にどうどう、とクルルクはなだめに入る。スズは意味深にライチュウに微笑んだ。
「……重畳です。あなたがいればクルルクは心配いりませんね、『ライアー』」
「……ライライアー」
「感謝です。スズはサーではなくマムですが。……さて、そろそろ到着です。シルクハットを直すのでしたら第三棟に入ってください。そこでお待ちしています」
「別に盗みに来てるわけじゃないし、バトルなんてしないよ。じゃあ行こうライアー、テテフ!」
ロープウェイが止まり、ドアが開く。吹雪の冷気が吹き込みクルルクたちの体が震えた。幸いにして、ロープウェイ乗り場からポケモンファクトリーは歩いて一分の距離。テテフが真っ先に飛んでいき、そのあとをクルルクとライチュウが駆け込んだ。第三棟は、左斜め前だ。入ってすぐまた四つの入口に分かれているのはポケモンリーグとしての建物だった名残らしい。
シルクハットを直してくれるというので工場らしい場所を想像していたのだが──扉を開けたクルルクを待っていたのは、闘技場のリングの
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