STAGE3-1:スズ、裏々だらけの偶像少女
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ツ観戦のようなものだ。クルルクは予告状という形で日時を知らせるものの、それは表向きはクルルクが自分の意志で突発的に出した犯行名声であり非日常的な捕り物で。安全である代わりに少し退屈にも思われるポケモンバトルの現状への回答なのだった。
この後いつもは最近行われた島キャプテン同士のバトルが映るのだが、一瞬画面が暗転したかと思うとまたスズの顔が映った。数年前に撮られたさっきの映像と全く同じ顔だ。
「あれ? 何か補足でもするのかな?」
「否定です。これはリアルタイムの映像です。久しぶりですね、クルルク」
「うわあ!?」
テレビの中の人が、返事をした。突然のことにクルルクの肩が跳ねる。テテフもびっくりして目を丸くしていた。
「意外です。ただ話しかけただけでここまで驚かれるとは思いませんでした」
「まあ、テレビ電話くらい今どき驚くことじゃないけどさ……スズって、本当に変わらないよね」
「当然です。スズはアイドルですから。アイドルは顔に小じわなどできないのです」
「いやそんなアイドルはうんちをしないのですみたいに言われても……」
「失礼です。スズがロボットだからと言って、女性に対してそのような汚い言葉を口にするのか感心しません」
「あ、ごめん……でも最初からロボットだから変わらないっていえばよかったよね!?」
「気のせいです」
スズの顔は、クルルクやラディが初めて出会ったときから全く変化していない。それもそのはず、彼女は人間ではないから。傷一つない銀色の髪も、アローラの日に一切焼けていない白い肌も、彫像のように整ったプロポーションも、多少見たり触れたくらいでは全くわからないが人間のそれとは違う。
安全なポケモンとの暮らしと、ポケモンバトルというエンタメを提供するポケモンファクトリー。それに対する人々の支持を受ける偶像<<アイドル>>が彼女、スズ・ブルーヒルデなのだ。
「ともかく、壊れたシルクハットを直してもらいに来たんだけど……でも、僕が今これに乗ってるってなんでわかったの? 」
穴あきになってしまったシルクハットを取り出して彼女に見せる。スズは考えたあと、ニヒルな表情を浮かべて返事をした。
「回答です。アローラの輝く太陽を見ていたら、あなたが来るような気がしましてね……」
「……ラナキラマウンテン頂上って、たいてい吹雪いてるよね。日がめったに差さないよね」
「肯定です。今日も良い積雪具合です」
「……」
「残念です。固くなった空気をほぐすエスプリの利いた冗談のつもりだったのですが」
薄いほほ笑みとともにあっけらかんと答えられて閉口するクルルク。こういう言い方をすれば失礼かもしれないが、彼女はすごく人間らしいロボットである。冗談も言うし、空気を読んだ言動もする。感覚がずれているのは否
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