STAGE3-1:スズ、裏々だらけの偶像少女
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は朝ごはんを食べ始めた。
ラナキラマウンテン頂上、ポケモンファクトリーへの道は、現在山の麓から数本のロープウェイが出ているのみだ。昔は徒歩で登っていくこともできたが、現在はその道は封鎖されている。
しかし、通行にそこまで不便ということはない。何故ならそこへ行く人はめったにおらず、そこから人が下りてくることもまたそうはないからだ。
クルルクは怪盗としてのジャケット姿でロープウェイに乗り込む。別に何かを盗みに行くわけではないのだが、要件はシルクハットを直してもらうことで怪盗がらみではあるからだ。
「あと、ちょっとあそこは寒いからね……さてライアー、発進だ!」
「ライライアー」
アイアイサーの返事をして、ライチュウが発進ボタンを押す。クルルクの両隣にライチュウとテテフが座った状態で、ロープウェイが出発した。ゆっくりと動き出すと同時に、中に設置されたテレビが映る。到着までの間、ポケモンファクトリーがどういうところなのかを紹介する内容だ。クルルクは何度か見ているため特に目新しいということはないが、おさらいとしていつも眺めている。
『……ポケモンファクトリーができる前、ラナキラマウンテン頂上はアローラポケモンリーグにおけるチャンピオンを決める場所でした』
ウラウラの島クイーンであり。アローラの人とは対照的な真っ白な肌、プラチナの髪をした彼女が画面の中で紹介を始める。声ははっきりとしているが、表情はわずかに悲しげだ。
『アローラポケモンリーグの開設によりアローラにはたくさんのトレーナー、バトルを見に来る観光客が訪れ、その影響でポケモンバトルを始める人も増えたことで一時は大いに賑わいました。しかしポケモンバトルをする人が増えすぎたことと、それが世界中で共有されるようになったことは、大きな災いとなってしまいました』
災い、の部分でテテフはぶるりと体を震わせる。クルルクはそっとテテフの頭の帽子を撫でた。
『ポケモンで無暗に他者を傷つける人が増え、傷ついたポケモンを癒す施設と人員の不足したり。世界単位で実力が競われることになった結果、そのレベルの差についていけなくなり絶望した無気力な若者が続出したり。アローラにおいては、大切な守り神たちに遊び半分で手を出す人が増え、神罰が起こることにより関係のない人まで傷ついたり……様々な事柄がこのアローラを苦しめることになりました』
昔々の、悲しい歴史を読み上げるスズ。何度聞いても、クルルクにはそれが自分のことのように苦しく感じられた。まるで、自分がそれを直接経験したような気さえする。テテフもライチュウも、難しい顔をしていた。
『ポケモンという力は、不必要にぶつけ合うべきではない。ポケモンバトルという行為は禁止されるべきだ。世界中でそういった声が
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