第一章
第7話 新生活
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「へへへ。今日から一緒だね」
「お前、絶対仕組んだだろ……」
「さー何のことかなぁー?」
「何で院生と職員が同じ部屋なんだ」
「さー何ででしょう?」
今は俺を除くと五人しか院生がいないため、一人一部屋というのは十分可能だろう。
彼が仕組んだのは明らかだ。
「あ、お兄さん今日からこの部屋なんだ?」
一人入ってきた。
黒髪のロングヘア。カナだ。名前が日本人っぽいので印象に残っているが、顔も和風な気がする。
エイミーとはまた種類が違うが、明るく元気な女の子だ。
「うん。今日からオレと同じ部屋になった」
いや、お前が仕組んだんだろうが……。
「へーそうなの……あれ? これは何かしら?」
カナは、カイルの荷物が置いてある棚に近づいていった。
そしてそこにあった黒いものを手に取る。
「あ、それはオレが兄ちゃんからもらったボクサーパンツ」
「ぼくさーぱんつ? 不思議な布……触り心地がいい!」
「でしょー?」
だからそれは下着だっつーの。
「わたしもコレ欲しいわ!」
「残念! それ確か一つしかなかったと思うよ」
「そうなの? 残念だわ!」
「あ、でも他にも似たような生地なのはあったかも」
カイルが俺の荷物を勝手に探りだす。
「おいコラ」
「あった! これはどう?」
ああ、それは俺のインナーシャツ……。
「あら、これはいいわね。手触りもそっくり。わたしはこれをもらうわ」
「ダメに決まってるだろ!」
カイルがカナに耳打ちしている。
しっかり「ああ言ってるけどさ、ちゃんとくれるよ」と聞こえてくる。
余計なこと言うなっつーの。
「それも俺が直接着けていたやつだぞ。汚いだろ」
「え? でも洗ってるのよね?」
「そういう問題か……」
結局インナーシャツは奪われた。
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