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緑の楽園
第一章
第7話 新生活
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ですか」
「そうだね。いつもこれくらいかな」
「凄いですね。町長なのに」

 凄いですね、というのは町長に対しては微妙に失礼な気もしたが、本当にそう思ったのでボロっと出てしまった。

「ははは。凄くはないな。町長だからだよ」
「え?」

「私の給料は町のお金から出ているからね。町の人たちのお金で生きている。だから、自分一人だけで進められる仕事は早朝に片づけるようにしているんだよ。
 そうすれば、日中の私の時間を町の人や他の職員のために空けておけるからね。より多くの人と面会できるし、他の職員の仕事がはかどるように段取りもしやすい」
「……」

 何と言うか、うん。とりあえず俺と次元が違うところにいるというのはわかった。

「何ポカーンとしてるのよ!」

 パンッ。
 また尻を叩かれた。

「お、エイミーちゃんか。いつもありがとうね」
「いえ! 町長さんにはいつもお世話になってますから」

 ついでに町長さん、こいつが尻を叩いてくるの注意してもらえないかな。



 ボランティアが終わると、戻って朝食となる。
 朝食は基本的に職員が準備をするのだが、必ず毎日一人院生が手伝いに入ることになっているらしい。
 カイルの奴が料理を覚えていたのはそのおかげだろう。
 俺は「今日の手伝いは免除」とのことなので、食堂で座って待つ。

 横に長い、大きな長方形のテーブルがある。
 つい先ほど、俺の隣に誰が座るかを巡り、ジャンケンがおこなわれていた。勝った人が俺の隣になるらしい。
 負けた人が隣になるというルールだったら心が折れていたと思うが、そんなことはなかった。よかった。

 ジャンケンの決勝にエイミーが残っていたが、そこで負けたようだ。
 良かった。叩かれなくて済む……と思っていたが、よく考えたら隣の席は左右二つある。結局エイミーも隣に座ることになった。決勝戦の意味がない。

 みんな揃って「いただきます」をした。
 家族以外とそんなことをするのは何年ぶりだろう。懐かしいと思う。

 エイミーではないほうの隣は、ぽっちゃり体型でおぼっちゃまカットの男の子だ。
 名前はエド。十歳らしい。
 エドはその少し太めの指でスプーンを握り、スープに潜らせ、そして自身の口元に……運ばなかった。

「はい、あーん」
「ふぇえ?」
「あーん」
「あ、いや、自分で飲めるから……」
「ちょっと! エドがせっかくあーんって言ってくれてるでしょ!」
「ぐふぇっ」

 胸を叩かれた。そうか。座っていると尻は叩けないのか。
 いや、それは置いといてだ。おかしいだろ。

「いや、これってどうなんだ。普通こういうことするのか」
「いいからとっととやってもらいなさい!」
「ぐはっ、イテテ……よ
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