2話:転生?
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れるや否やドアが開き、母親のカタリーナが病室に入ってきた。
「お義母さま、おそくなり申し訳ございません。ザイトリッツの容体は如何です?」
「カタリーナ、まだ事故の影響なのか、記憶があいまいな部分があるようなの。確認も含めて、お話していたのよ。久しぶりにザイトリッツとゆっくり話す時間が取れたわ。」
「そうでしたか、最近はお屋敷を抜け出して遊ぶことが多いとお嘆きでしたものね。こんなことがありましたもの。少しは良いこともありませんと。」
「その話はまた改めてにいたしましょう。まずはザイトリッツの体調です。しっかり休んで万全に戻さなければ。」
目の前で俺を含まない会話のキャッチボールが続く。ザイトリッツとしての記憶に引きずられているのかどうもこの二人には苦手意識がある。
話し疲れもあるしこれ幸いにそんなやりとりを眺めていると
「お義母様、あの話が明日の午後にございますので、ニクラウス様へザイトリッツの病状もお伝えせねばなりません。お義母様には領地経営を担って頂いてもおります。ご同席頂きたいのですが。」
「そうですか。今はザイトリッツについていたいし、貴方たちだけでも大丈夫な気もするけど、手違いがあってもよくないわね。わかりました。」
淑女達のキャッチボールが終わりそうだ。休みたいのも事実だが、手元に何もないし、状況も確認したい。どうしたものかと考えていると。
「こんな時にごめんなさいね。ザイトリッツ。お義母様のお力添えをお願いしなければならないことがあるの。寂しいかもしれないけど、堪えてくださいね。」
カタリーナが申し訳なさそうな表情で話しかけてきた。事情があるなら仕方のないことだ。
「母上、まだ安静にしなければいけませんが、命に関わることはなさそうです。御心配には及びません。とはいえ手元に費えがないのも不安ですし、何かの際に事付けを頼める方がいてくれると安心なのですが、お願いできますか?」
カタリーナは少しビックリした表情をしながら
「確かにそうね。気が動転していたのか、気づかずにごめんなさいね。費えの件は、ローゼに言えば済むようにしておきます。人の方は従士のフランツについてもらうことにしましょう。」
病室の外にカタリーナが声をかけると、16歳位の青年が入ってきた。
「ザイトリッツ様、従士のフランツでございます。部屋の外に控えておりますので、何なりとお申し付けください。」
優しい大型犬に懐かれる印象を感じながら、
「フランツ。よろしく頼む。おばあ様、母上、こちらはご心配には及びません。お戻りください。」
そう俺が言うと、マリアとカタリーナは少し名残惜しい表情をしながら病室から出て行った。まだ体調が万全ではないのもあるのだろうが、少しホッとした。
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