4-2話
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のは機長だろうか?
わざわざ鍵をかける意味は? もしかして…ビンゴ? いや、素人が入っては困るという可能性はあるかも知れない。
だけど、アタシとしては中を確かめないわけにはいかない。
「……誰もいない、っと」
一度来た道を戻って誰もいない事を確認する。
ちょっと大きな音を出すから、誰かに聞かれても困る。
うん…大丈夫だ、問題ない。
再び踵を返して、木材のドアよりも薄そうなの扉の前に立つ。、
体を半身前に出し、目から力を入れて、すぅ…と鋭く息を吸い込む。
「………ッぜぁあ!!」
―――バギン!!
呼吸からの横回転してからの流れるような回し蹴りが繰り出された。
ブーツが床を踏み締めての綺麗な横回転。
そこから繰り出された抜き払う居合の如きミドルキックは、鍵となっていた壁の一部が吹っ飛ばした。
ふわり、とポニーテールが帯のように舞って、鼻先をくすぐった。
後に残るは無残にも鍵の意味をなくした扉とアタシだけだった。
鉄版入りのブーツ越しに衝撃が伝わるが、操縦室の扉を初めて蹴り破った感想としては、脆《もろ》い…の一言に尽きる。
…悪い事をしてる自覚はあるけど、いちいちそれで足を止めてはいられない。
「さて、何かがあるのかしらね…」
カツ、カツ…とブーツで床を叩きながら、傍若無人にも操縦室の中に踏み入る。
そしてアタシは、そこにあったモノを見た。
「―――」
歩む足は止まり、もはや調べるまでもなく結論に至った。
「………そういう事、か。 これじゃあ、どうにもならないわよね」
機長が…なぜ嘘を…あの態度だったのかも納得がいった。
真っ先に希望を折られるのを見た彼はきっとそうするしかなかったのだろう、とアタシは理解する。
―――無線機の残骸《ざんがい》だ…。
墜落した際の影響だろう。
操作するべきパネルの場所は、大きく歪んでいてとてもじゃないが操作が出来るような状態ではなかった。
歪みは内部にまで達していて、いくつかの部品が潰された形でその無残さを露出させている。
機械に詳しい人が……いや、飛行機の設備はデリケートだ、これぐらいとなると詳しい程度じゃ無理だ。
専門の人でちゃんと修理する環境を整えていなければ繋がる事は不可能だろう。
救助は望めない…か。
希望があるとすれば、この旅客機そのものだけど……果たして、それは“正しい選択”になるか?
…その事実を伝えたらどうなるか…?
無線が通じた、と信じて救助を待っている人はどれだけ絶望する?
希望があると信じて待っている人は、絶望に耐えられるか? 喜びが絶望に勝るか?
この旅客機を動かす事ができたとしても…それ以上
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