4-2話
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るほどの長躯《ちょうく》に、獅子《ライオン》のそれを思わせる金色の髪。
アタシの声に反応して振り返って見詰めてくる力のある瞳。
グアムで出会った、あの獣を思わせる暴れん坊のような少年だった。
会うのは二度目だけど…ホント、ライオンのような印象を覚えるような男である。
少年というには些か育ちすぎな立派な体がとても威圧的だ。
挨拶をするもスルーしてるのか無言の威圧感も加わって、結構強面の雰囲気をさせる。
見方を変えれば、ちょっとワルイドっぽいとも言える。
「また会うとは奇縁ね。 貴方も同じ旅客機に乗ってたのね」
「…ああ」
ぶっきらぼうな答えが返ってきた。
アタシはそれが素直に嬉しく思えた。
「あら。 あの時は一言も喋らなかったけど、ちゃんと答えられるのね、獅子くん」
「あ?」
「名前知らないからね、それともレオとでも呼んでほしい?」
「……勝手にしろ」
ふむ…よくも悪くもなし。
興味ないといった感じだけど敵意があるわけじゃないか。
獅子くんとかレオとかそんな舐めた呼び方をして、ヘタしたら殴りかかられると思ったけど、そんな事はなかった。
彼は見た目よりも理性的で、琴線《ことせん》とも言える怒りの感性が人とは違う所にある…とアタシは見た。
「お互いとんだ災難だったわね。 アタシもこの旅客機に乗っていたけど、まさかこんな事になるなんてね」
「………」
「にしても、貴方は全然慌てた風には見えないわね。 この状況にそんなに早く慣れた? それとも…」
ニヤリ、とアタシは不敵な笑みを浮かべて二の句を繋げた。
「退屈しない世界が見つけられそう?」
アタシの言葉を聞いて、獅子くんは眼を剥いた。
「てめぇ…」
図星を突かれたせいか、強烈なほどに意識を向けてくる。
およそ、自分でもハッキリと気付いていなかった事なのか、信じられないものを見るかのように眼光を鋭くする。
彼の内面なら何を思うか、己の勘が囁いた推測はどうやら的外れではなかったようだ。
アタシを射抜くその眼を見て確信する。
獣に似たその本質が、いつ逆上して牙を剥いてもおかしくない剣呑さが匂わせるが…そうしないのは力を持つがゆえの理性と、いつでもその暴力を引き出させる場を見極めている彼はやはり獅子《ライオン》だった。
だからこそだろう。
もの静かそうに沈黙しているそうで、どこか心躍らせているように見えるのは。
まるで獅子が弱肉強食の世界に生み落とされたかのように、暴力的な力を秘めた彼向きの環境。
この世界の“異常”はまだ彼の目に映ってはいないけど、どことなく期待を帯びているようなそんな目をしている。
己の我が通用するかも知れない。
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