4-2話
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心で皮肉笑いを浮かべながら、アタシは枝のしなりで高く跳んだ。
―――。
「………驚いた」
二度目に見る旅客機は今尚健在だった。
そこはさして驚く所ではない。
アタシが驚いたのは、一日だけとは言え、いまだにこれだけ集団が固まっていながら混乱状態にない事だった。
この人達はまだ“獣《ケダモノ》達”に襲われていなかったのだ。
アタシがこの地に降りた夜には“獣《ケダモノ》達”の息遣いを感じながら、警戒して朝を迎えたものだ。
もし…そうだとしたら、これだけの集団であの凶暴な生物に襲われていないのは幸運《ラッキー》だ。
やはり数百人もの人間と…あの巨大な鉄の鳥という未知の遭遇も、警戒してるからか遠巻きに“獣《ケダモノ》達”も様子見をしていたんだろうか。
「(何しても好都合ね。 今の内なら、動きやすいかもね)」
息を潜め、大地の感触を掴んで足音を忍ばせる。
隠れ蓑にしている森から、隠行《おんぎょう》で近くを通った乗員らしき人の後に続いた。
おかげで自然に人に紛れた事で奇異の目線は少なかった。
前を歩く人は多少は視線を感じるだろうが、それだけだ。
人の輪の中を歩く事で、影のようにひっそりとストーキングしている者を案内をしている事など露知らずにいる。
ある程度中に入り込めた所で足を止めた。
後を付けられていた人は最後まで気配を断っていたアタシに気付く事なく遠のいていき、その後ろ姿をヒラヒラと手を振って見送った。
「さて、と」
ここまで問題を起こす事なく入り込む事はなかった。
あとはどこから知りたいモノを得るかが問題だ。
候補《こうほ》としては…旅客機の乗組員辺りだろう。
それが機長であれば最有力だろうけど…まぁ、怪しまれないよう努力するしかないか。
女の武器を使え…と手段を選ばない人は言うだろうけど、アタシにそういうのは無理だ。
「(…にしても怪我人が多いわね、打撲に骨折、といったのが主な所か。 この数じゃあアタシの持っている分じゃあ賄えないわね)」
見渡せば、怪我をしている人がそこかしこにいる。 包帯の数が足りなくて布で代用している人がいるほどだ。
聖人君子でもないアタシはそれを見ているだけ。 彼らは自前で手当しているのだから、身を削る必要などない。
少なくとも、飛行機が墜落する惨劇がなかっただけマシなのだから。
怪我人達の安否はよそに、アタシは視線を流して人を探した。
「…あら」
そこで、ふと見覚えのある金色が眼に止まった。
「ハロハロ〜」
アタシは近づいて挨拶を投げかけた。
声をかけた背中は大きく、大きめの学生服は踵を返してこちらを向いた。
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