4-2話
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き場所ではないのだ。
アタシとしては、この未知の場所から脱出するための手段を模索《もさく》する事を選んだ。
生き延びる事よりも、誰かと協力してこの地で生き長らえるよりも、リスクを背負ってでもここから離れる方法を探さなければならなかった。
そこでアタシが取った行動は…周辺の捜索《そうさく》。
だがそれも手詰まりになり、次の行動は不本意ながら一つに絞られた。
すなわち、旅客機周辺。 アタシはそこに向かう事にした。
実のところ、この旅客機は既に、昨日の内に見つけてあった。
なんとその鉄の鳥は五体満足で、翼どころかエンジンまで無事という破格の奇跡を体現していたのだった。
そしてその周りには遭難者そのもので、何百ものの人が集まっていたのだ。
無事なのはよかった事だ。
だが、アタシはそこで姿を見せずに立ち去った。
あの旅客機を使って帰還するという手段は保留したからだ。
だから、他にもルートがないかと探し回った。
最悪、原住民でもいいから人がいないものか、と一日かけて歩き回った。
結論から言えば皆無だ。 ここには人がいない、収穫ゼロだ。
つまり交通手段はないという事だ。
これならサバンナのど真ん中の方がまだ望みがある方だった。
自然と選択肢は狭まり、手段があるのなら確かめないわけにもいかなくなった。
「さて…どうなる事やら…」
正直気乗りがしないのは、こんな危機的状況において人が多く集まる場所というのは賽《さい》の目ほどに無作為だからだ。
吉と出る事があれば凶と出る。
はたして、どれだけの人が正常でいるのだろうか? あるいはいつまで正常でいられるか、であろうか?
未知に状況に置かれて、人々はピリピリしているはずだ。
ストレスを抱れば、その苦しさをどこかに吐き出そうとするのが人間だ。
そういう時に人は集団心理で強烈な軋轢《あつれき》を起こして、目に付いた個に集中するさせる性《さが》がある。
そしてこの地には“獣《ケダモノ》達”がいるのだから、命の危険まで加わればストレスは計り知れないだろう。
遊びや酒で紛らわすのもあれば…くだらない攻撃性で他者に敵意を向ける事だってあるだろう。
アタシみたいに無傷で、特徴的な人間なら特にだ。
「魔女狩りなんてバカな真似しなければいいけど」
ヘタに姿を見せた結果…連中にイチャモンつけられたらどうしてやろうか。
アタシも人間だが、意味も無く数の暴力で無力な人間を痛ぶる愚かな人の性《さが》は、同胞であっても嫌いだ。
せめて、そんな行動に出ない程度に理性があるのを期待するしかないだろう。
まぁ、そんな行動に出るようなら煙に撒いてドロンするだけだ。
内
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