巻ノ百五十二 迎えに向かう者達その三
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「この岩にじゃ」
「それぞれの金棒と鎖鎌がな」
「どちらが上か競おうか」
「これよりな」
二人は岩を飛ばし合った、それと共に。
自分達も突進し合った、清海は金棒を土蜘蛛は鎖鎌を手に。
それぞれぶつかり合った、岩と岩が激しくぶつかり合い砕け合った、すると二人の出した全ての岩が砕け散ったが。
その中でだ、たった一つだった。
清海が出した岩の砕けた破片が土蜘蛛に向かった、土蜘蛛はその破片を鎖鎌で弾き返したがそこに一瞬の隙が出来た。
清海はそこに金棒を思い切り振った、土蜘蛛はその金棒の一撃は鎖鎌の巨大な今の球で受けたのだが。
受けた角度が破片に気を取られて動きが遅れた為悪くなっていた。そのせいでだった。
これまで傷一つ負わなかった岩にヒビが入った、そうして土蜘蛛自身半歩退いた。そこで両者は動きを止めたが。
その半歩退いた土蜘蛛が言った。
「勝負ありか」
「勝ったのはどちらか」
「貴殿よ」
清海を見て告げた。
「わしの岩は全て砕け散りな」
「破片一つじゃな」
「貴殿に向かわなかった」
そうなったからだというのだ。
「そしてわしは貴殿の金棒を受けたが」
「それもじゃな」
「しくじった」
受け損ねたからだというのだ。
「岩の球にヒビが入り半歩退いた」
「その半歩でもか」
「わしは認める」
「お主の負けをか」
「そうする、見事であった。ならばな」
「その首をか」
「持って行くがいい」
負けた者として言うのだった。
「これよりな」
「いや、それはよい」
首はとだ、清海は土蜘蛛に答えた。
「お主の首はいらん」
「それは何故じゃ」
「勝って褒美を貰う戦ではないわ」
今の戦はというのだ。
「殿の武士の道を歩まれる中での戦、我等はその道をお助けしている」
「その中での戦だからか」
「褒美の為の戦ではないか」
「だからか」
「左様、それにお主程の者首を取って死なせては惜しいわ」
清海は笑ってこうも言った。
「もっともっと強くなりたいであろう」
「無論、半蔵様の為にな」
「ならわしも強くなる、もう会うこともないであろうが」
「共にか」
「強くなっていこうぞ」
「そうか、ではな」
「うむ、これでな」
まさにとだ、清海は土蜘蛛に豪快に笑って述べた。
「さらばじゃ」
「身体を労わる様にな」
「お主こそな」
二人で言い合い別れとした、清海はその後で幸村の気を感じる方に向かった。
霧隠と氷刃も闘っていた、氷刃の剣と氷の術に対して。
霧隠は己の剣と霧の術で闘っていた、だが両者の氷と霧は。
どちらも相手に即座に見破られ効かない、氷の刃を飛ばしても霧隠はかわし氷刃は霧に隠れていても場所がわかる。
それで両者は互角の勝負を行っていた、氷刃は
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