66部分:第六話 次第にその四
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第六話 次第にその四
「見る限り」
「あそこの顧問の先生って走るの好きらしいからね」
「もう一に走って二に走って」
そうだというのだ。
「そういう部活だからね」
「素振りよりもまず走るんだって」
「素振りも結構させるみたいだけれど」
「ふうん、そうなの」
星華は三人の言葉を聞きながら頷いている。彼女は自分の席に座り三人はその彼女の周りに立って囲んでいるのである。そうした形になっていた。
「そういう感じなのね」
「そうそう、まずは体力にフットワークだからって」
「それからだってね」
「何処の部活も同じなのね」
そしてこうも言った。
「剣道もバスケも」
「体育会系は何処でもそうだけれど」
星華は腕を組みながら述べる。
「それでも。部活の間ずっと走ってるのよね」
「ランニングにダッシュ」
「それよね」
「バスケって動くからね」
「そう、それでなの」
まさにそうだというのだ。
「おかげでスタイルは維持できるけれど」
「そういえば星華ちゃんスタイルいいわよね」
「そうよね」
「そうかしら」
だが本人はここで暗い顔になる。そのうえで自分の胸を見るのだった。
「胸がね」
「それがないの」
「だから嫌なの?」
「それで」
「そうなの」
その暗い顔での言葉だった。
「私胸ないから」
「胸ってねえ」
「星華ちゃん普通位じゃない」
「そうそう」
「普通よ」
三人はこう言うのだった。
「別にね。星華ちゃん位あればね」
「別にどうでもないよね」
「そうよ。気のせいよ」
あくまでそうだというのだ。
「若しかしてさ。西堀と比べてる?」
「まさかと思うけれど」
「あいつと」
ここでその月美を見る。見れば彼女は今日も自分の席に座って本を読んでいる。その本は。
「何よ、三島って」
「そうよね。如何にも文学少女って感じで」
「嫌な感じ」
「私あんな本読んだことないわ」
星華も言うのだった。
「何さ、あの態度」
「そうそう、ちょっと頭がいいからってね」
「そりゃ八条高校ってレベル高いけれどね」
「そうよね」
「クラスでトップだし」
「しかもあの胸」
完全にやっかみであるが本人達は気付いていない。自覚していないのだ。
「男に媚売っちゃってね」
「何だってのよ」
「私達にだけ何か言うし」
「そうよね」
星華も目を怒らせて言った。
「何かさ、頭にくるしさ」
「どうするの?星華ちゃん」
「それで」
「今は何もないけれど」
その怒った声での言葉だった。
「このままじゃ済ませないから」
「そうよね、またね」
「頃合い見てね」
不穏な空気が漂っていた。しかし月美はそれには気付かない。彼女はそのまま三島由紀夫の本を読み授業を受けて
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