ダン梨・T2
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『んー……』
豊穣の角、か。なんかそういえば、豊穣の角を持ってる変な神の絵を見たことがあったような気がする。なんだっけあれ……ええと。
『玉乗りの玉に乗ってて、底の抜けた壺持ってて……』
『んん、それなんだか聞き覚えのある大道芸のような……確かそれに加えて飛翔靴と舵輪を持って――ああ!そういえばあの子も角押し付けられてたっけ。名前はねぇ――』
そのエリアに入った瞬間、一瞬入り口にいる男性に止められかけた。
しかしその男は俺の顔を見て、すぐにそれをやめて傍観した。
ここはとある女神が丸ごと使っているエリアだ。その主の名は……。
「テュケー。運命の女神テュケー」
正確には、俺が見た変な神とはフォルトゥナだ。しかしフォルトゥナとはローマ神話での呼び名であり、ギリシャ神話に於いてはその名をテュケーに変えている。
不確定性の波、コルヌーは確かそんな事を言っていた。嵐の中の航海、安定せぬ球体の上、満ちる事のない幸福の器、そして飛翔靴は羽根として舞い散る己の幸運。この神は運命をつかさどるせいか何かと象徴が多い。豊穣の角は、謂れは知らないがなぜかフォルトゥナの絵によく登場する。
そしてそう、テュケーと同一とされるフォルトゥナは大アルカナが一つ「運命の輪」のモデルでもある。つまり、俺の二つ名に選ばれた『運命の車輪』の事だ。
「参ったよ。根拠はなかったからさ。ダイダロス特務隊でさえコルヌーの正体を突き止められなかった――いや多分、本名じゃなくて身内しか知らないからたどり着けなかったのかね?そんなもんで、俺の二つ名を提案した神の線から辿りに辿ってここまで来た訳だ」
独り言のように呟きながら、俺は部屋の突き当りにある大きな部屋――扉は開け放たれていた――に無遠慮に入り込んだ。
そこに居たのは、1人の女性――間違いなく、女神の類。
「ようこそ、バミューダ・トライアングル。こんなにも早く来るなんて驚いたけれど、やはり貴方は『運命の車輪』の名に相応しいわ」
「狙って入れたのか?くじ引きの紙を」
「いいえ、幸運も不運も地上では平等に発生する。私がしたのはただ、流れを読んだだけよ。それは女神としての権能と似ているかもしれないけれど、人でも出来ることよ。イシュタルやフレイヤの美しさが魔性を帯びるのと似ているかもね………」
窓から差し込む逆光を浴びる純白の髪の女神は、ゆっくりと振り返り、こちらに母の如き微小をむけた。
「あのブタ狂いクソ女のフレイヤと似てるというのはちょっと不快だけど」
「ん?今なんかすげーパワーワード出た気がするんだけど気のせいですか?」
「気のせいじゃないわよ。私、フレイヤとは天界からの腐れ
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