STAGE2-3:戦闘携帯への模犯怪盗
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きを繰り出す。クルルクはとっさに身を低くして躱すが、被るシルクハットを貫通し穴を開けた。クルルク側と同じ技を使ったリュウヤはカミツルギをもとに戻して構えなおす。
「怪盗としての見栄え意識からか知らないが、命がけの【戦闘携帯】で悪ふざけが過ぎたな、怪盗クルルク。お前がカードゲームごっこをしている間に、こちらはいつでも好きな技を使える。それで勝てると本気で思ったのか」
クルルクは穴を開けられたシルクハットを握りしめる。その肩は震えていた。
「お前の移動に使うシルクハットは潰した。どのみちここから逃げることはできない。諦めてお縄につくんだな」
レイピアのようになった紙の神の剣をクルルクに突きつける。クルルクは涙を零し、絞り出すように言った。
「ああ……!これ高くて作ってもらうのお金かかるのにー……!」
「……」
人の話聞けよ!!という突っ込みが野次馬達から入るが、リュウヤは特に驚くこともなく平然と受け入れている。クルルクはため息をついて穴あきのシルクハットを被りなおす。
「リュウヤ、君の間違いを訂正するよ。僕もスインドルも悪ふざけなんかしてない。本気のギャンブルを仕掛けてるんだ」
「ポケモンと人の真剣勝負でギャンブルなどする意味がない……不要なギャンブルに手を出したお前の未来は破滅だ」
「まだまだ、勝負の行方は分からないよ」
「ならばそのギャンブルごと終わらせてやる、『リーフブレード』!」
金の熨斗が曲線を描いて伸び、クルルクの胴を狙う。身をひねって躱そうとするが、さらにクルルクの体の前で熨斗が曲がり──トランプを持つ方の手首を貫いた。
「ぐっ……!!」
「引き寄せろ神剣!そしてこのひと振りで終わりだ、怪盗!」
手首を貫いたまま、熨斗の長さを戻すカミツルギ。するとクルルクの体がリュウヤの方に引っ張られていき、飛び込んでくるクルルクを切り伏せようとする。
クルルクは苦悶の表情を浮かべながら、右手に握ったカードを放った。
「手札にあるのはすべてハート……フラッシュの『光合成』!!」
「くっ……」
リュウヤの視界が眩み、振った一撃は脇腹を掠めるに終わる。そしてクルルクはバックステップで距離を取り、『光合成』の力で傷を癒した。
「たまたま回復の役がそろっていたのか……姑息な真似を」
「姑息でもなんでも、首の皮一枚、骨一本繋がってれば続けられるからね。それがスインドルから教わった、勝負師の心得だよ」
クルルクはちらりと後ろに控えるラランテスを見る。扇を広げ、細めた目の彼女は今の主のピンチに全く動じていない。
回復したとはいえ、一度手首を貫かれたクルルクの表情にはすでに笑みが戻っている。
「……大したポーカーフェイスだ」
「どんな展開にも驚かない君ほど
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