第一章
第6話 二十二歳の孤児
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な庭もあり、外観は小さな学校のように見えなくもない。
田舎の尋常小学校などはこんな感じだったのだろうか。
煉瓦造りは地震に弱そうなイメージがあるので、木造のほうが見ていて安心感がある。
役場は煉瓦造り二階建てだったが、あれは大地震が来たらどうなのだろう。柱がやたらたくさんあったので、何か耐震性を高める工夫があるのだろうか?
もっとも、この国が俺のいた日本のように地震大国だとは限らないわけだが……。
……いや。それよりも俺は今の状況だと自分の心配をしたほうがよさそうだな。
今日から新生活となるわけだし。
さてと。紹介状は、と。
はい。深呼吸。
では、入りますかね。
***
院長室兼応接室とおぼしき部屋に入り、紹介状を渡して院長に挨拶と自己紹介をした。
さぞ驚くのだろうと思ったが、意外と普通の反応だった。
少し不自然に感じて聞いてみたら「カイルくんがよく君の話をしていた」とのこと。一体あいつは何を言っていたのだろう。
部屋もすぐ準備できるとのことだった。
孤児は突然現れるか突然発生するかのどちらかだろうし、いつでも受け入れ準備はできているということなのだろう。
施設の性格を考えると恐らく相部屋だろうが、今は文句を言える立場などではない。むしろベッドがあるだけでも大感謝だ。
クロについては、日中は基本的に建物内と庭を自由に歩いてもらってかまわないとのことだった。
ただし、夜は部屋に入れて外には出さないようにしたほうがよいと言われた。
俺としては、外につないだままにしていると、また皿が置かれて肉と野菜がてんこ盛りになる予感がプンプンするので、中に入れられるというのは非常に助かる。
そして、孤児院のシステムについての説明も受けた。
5:00 ボランティア活動
6:00 朝食
7:00 十二歳までの子供はそれぞれ学校や修行先へ行って授業
12:00 お昼のおやつ 食べたら13:00まで昼寝
13:00 院内で勉強や修行(土・日曜日はなし)
17:00 夕食(院生はお手伝い)
お昼のおやつとは新しい。
入院中に知ったが、この国では昼食を食べる習慣がない。一日二食が普通だ。
さぞ腹が減るだろうと思ったが、そこまででもなかった。
俺がいた日本でも、一日三食になったのは江戸時代になってからで、それまでは一日二食だったと聞いたことがある。
慣れると意外とたいしたことはない。
説明が一通り終わると、いったんクロは庭で自由に過ごしてもらうこととし、俺は講堂に行って他の院生へ挨拶をすることになった。
講堂は教室風の部屋だった。
二人掛けの木のイスと机が横三列で縦四列、二十
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